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Waltz for Debby/ Bill Evans
  1. Waltz for Debbyは、兄の娘のために書いたBill Evansのオリジナルで、初録音は右掲盤よりも前のNew Jazz Conception盤ですが、やはりこの曲であれば、右掲盤が極め付けでしょう。無論、良い曲なので、他の人も一杯録音してます。この盤は、女性専科のように言われ過ぎていますが、「よーっく聴いても、やっぱ凄い」という盤です。御承知のように、これはVillage Vanguardでのライブ録音で、この曲にはテイクが二つあり、マスターはテイク2の方です。CD化に際して、後ろにオルタネートのテイク1がオマケで付いています。
  2. 出だしはノー・リズムです。Bill Evansが先ず、テーマを奏でますが、童謡にでもありそうな、夢見るようなテーマです。暫く経って、La Faroのベースが付き合い始めても、未だビートは感じられません。更にもう少しすると、やっとブラッシュも聞こえてきて、オン・リズムとなります。「さぁ、いよいよ」という感じです。Paul Motianのブラッシュが小気味良いタッチです。そしてBill Evansのアドリブが始まります。実に、気分です。その内、ベースが何か色々やっているのに気付きます。なんかベースのアドリブでもないのに、「何を、そんなにはやってるの」という感じです。でもこれがBill Evansトリオなんです。普通のトリオと、ここが違うのです。言ってみれば、綺麗なシングル・トーンのピアノと、ベースのピチカートが混ざり合う、この妙味です。変な言い方ですが、二人ともがアドリブをするというのが彼等のやり方です。そして、やっと「正式の」ベースのアドリブが始まります。ベースにしては細かいパッセージも混じって、タッチもバラードにしては結構攻撃的で、聞き耳を立ててしまいます。。
  3. 別テイクのテイク1の方も聴いてみると、マスターに引けを取らない良さがあります。これは先に録音されたので、日曜のマチネーの時の録音かと思われます。マスターは後の録音なので、「あのうるさい」夜のセッションの録音でしょう。Bill Evansはこのクラブのピアノは好きだったが、この夜のクラブの喧騒には不満だったようです。でも、面白いもので、「うるさかったので、それに邪魔されないよう、余計に自分の演奏だけに集中するようにした。」と本人が語ったように、その集中が良い演奏を構成に残す事につながったのかも知れません。そうだとすると、正に「瓢箪から駒」じゃないですか。
  4. ここで、ちょっとお遊びを二つ。先ず第一は、テーマをしっかり覚えた上で、このベースの音だけを注目して聴くようにして、テーマの旋律を耳の中で響かせながら、ベースを聴いていくと、その動きが実に面白い事がわかります。第2が、これを大音響で聴いてください。別の音楽が聴けます。あっ、これは何度も書いてますか、失礼。
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