- Thursday's Childは、西洋に古くからあるマザー・グースの一群のうちの一曲です。原詩は、例えばこの辺を見てください。
- この歌は、マザー・グースの他の詩と同様に、色々と深読みをしようと思えばできます。詩を御覧になればお分かりのように、単純には「子供の運命は生まれた曜日によって決まっている」という黙示的な古謡です。月曜日生まれの子は、火曜日生まれの子は、、、と順番に来て、木曜日の部分は、「遠くまでいかなきゃならない木曜の子(Thursday's child has far to go)。」となっています。Nelsonならば、「木曜日の子には、まだまだ道は遠い。」とでも訳すところです。David Bowieがこれにちなんだ曲を同名で出して、それなりのヒットをしたらしく、「Thursday's Child」で日本語サイトを検索すると出てくるのはそういうサイトです。外国では、この言葉は「幸せ薄い子供」と同義で使われているらしく、養子関係や、エイズ関係のサイトが多いようです。
- ジャズでは、このAbbey Lincolnのヴォーカルが極め付けです。この人特有の張りのある、ある意味で歌詞を意識して刺すような声で、歌詞をじっくりと噛み締めるように唄っていて、聴くものの心に染み入ります。Wynton Kellyのピアノがノー・リズムのイントロで調子を整えてから歌になり、そこにDorhamのオブリガードが付いて、、、というセッティングで、結構エコーの掛かった音録りです。Les Spanのギター、Sam JonesのベースそしてPhilly Joe Jonesのドラムスも、ひっそりと伴奏しています。この盤は全てが良いヴォーカルで、また脇のサポートも最高で、大事にしています。誇張して言えば、主張のある演奏ですが、それが気にならない程に演奏の質が高く、狙いがピッタリ実現できていると感じます。それ以前の「That's Him」等の路線に満足できなかったこの人の新しい作風として、結構話題にもなりました。夫君Max Roachとの共同生活が実を結んだという感じです。余談ですが、伊丹十三監督と奥さんの宮本信子との関係に似た夫婦像を、Abbey Lincoln/ Max Roachという組み合わせにも見てしまいます。
- 他にChris ConnorやArtha Kittのヴォーカルがあるようです。
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