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ピアノとしての特徴
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- お聴きになれば判るとおり、この人のピアノは取っ付きが良く、親しみやすいものです。
中音域が中心で、ゆったり目のテンポ
- 聞いていて、ピアニスティックな面でスゴイと思うところは余りありません。むしろ、そんなに小難しいことをしなくても、心があれば人を動かすことは出来る、という真理を教えてくれます。無論、下手なピアノといっているわけではなく、そこここに聞かせどころがあり、生半可なピアノ奏法でないことは判っていますが、つまり、殊更にそれをひけらかさない「奥床しさ」を言っているわけです。
Duke Jordanとの違い
- 時代的に言っても、この人はパリでジョーダンと同時期に演奏活動をしていた筈です。二人とも、共通して中音に重心があります。派手な高音のシングルトーンを聞かせることは余りありません。ジョーダンのブルージーな演奏は、恐らくミシェルのそれよりも、もっとよくしられているといえます。その辺は、ジャズの質の高さには余り関係が無く、バードとやっていたとか、ハードバップの勃興期にその表舞台近くに居たとか、その種の下世話な事情によるものでしょう。それよりも、やはり大きな違いが自作曲の香りの違いでしょう。ジョーダンの場合は、ジャズブルースの線が一本通っているように思えます。ミシェルの場合は、もう少し米国の黒人の匂いが薄く、恐らくどこかにカリブの匂いが隠されているのでしょうか。
同じカリビアンのピアニスト
- Wynton Kelly、Monty Alexander、Andrew Hill、Michel Sardabyの4人は、いずれもカリブ海の生まれです。前2者がジャマイカ生まれ、ヒルはハイチの生まれです。皆が、ビギン、レゲェ、メレンゲ等に囲まれて育っています。 恐らく、Gonzalo Rubalcabaも、同類に入れておかしくないのでしょう。面白いのは、Wynton Kelly、Monty Alexanderの二人とも、飛び跳ねるジャンプ感が何とも言えず良くって、しかも二人のジャンプに仕方が微妙に違うことです。ヒルは、余り得意の分野の人でないので、コメントは差し控えます。Michel Sardabyには、ジャンプ感はなく、むしろゆったり目か、普通のテンポにおいて、テーマ及びアドリブを繰り広げるという感じです。ピアニスティックな綱渡りやスィング感をひけらかす人ではありません。Wynton Kellyには、若干米国黒人のブルースに通じる面がありますが、総じて3人ともジャズブルースではあっても、一味違うところがあります。
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