Nelsonのような旧人類は、フランクチャックスフィールド、という編曲家の名前が出てくるという「引き潮」という名曲を、遅すぎるかというテンポで始めて、徐々に盛り上げる。ウマイ、というよりスゴイ。Inner Circle
bassのAndyの作曲というが、実にしみじみした幻想的な佳曲。意外な発見があるものだ。ほとんどモード系の演奏で、螺旋を上る感があり、My Favorite Thingsが引用されるなどpost Trane/Tynerスタイルの滲み出る好演です。(この曲は、作曲家もMapleshadeのSound Rootsというリーダー盤の中で録音しているらしいので探している。) 所で肝心の演奏はというと、冒頭でミシェルがシングルトーンできれいに導入して、Grossmanがじっくりテーマを歌い上げる。それから、実に美しく、激しいアドリブパートに入る。思わず感極まる局面も入ったり、トレーン流の重音等が入り乱れたりするやり取りがあり、みながこの曲を慈しんでいることがこちらにヒシヒシ伝わってくる。なかなか、そんじょそこらにはない名演。ミシェルのアドリブになっても、テナーソロの雰囲気をピアノに移し替えて、イヤ、歌うこと、歌うこと。と書いたところで、これをブラインドフォールドテストで出題したら、中高音シングルトーンの分厚さや、トレモロが出てくるところなどを聞けば、かなりの人が「板橋文夫だ」と答えるだろうことに気づいた。あるいは、ミルチョ・レヴィエフと言う声もかかるかも。正に「泣きの名演」の極致。Song for My Mother