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Mal Waldron's Groovy Tracks

  • Mal Waldronの好演奏といえば、ごまんとありますが、無性に聴きたくなるのは以下のようなものです。
  • ここでは、盤全体としての評価ではなく、特定のトラックにおける演奏の素晴らしさに着目しています。
  • クリックすると右のフレームに盤全体のデータが出ます。そうでない場合も、できる限りDiscographical Dataが分かるようにしています。

  1. Fire Waltz, Warm Canto, Status Seeking /from 'The quest'(1961)
    Fire Waltzは最初に聞いた時衝撃を受け、その頃読んでいたハヤカワの「奇妙な味」選集のことを想起しました。そして、こんなにも色んなジャズがあること、そしてこれも紛れも無く良質のジャズであることに気付き、さらにジャズの深みに真っ逆さま、という次第です。Warm CantoやStatus Seekingも含めて、この人の路線の原点ですか。
  2. Rock My Soul, Rat Now /from 'Free at last'(1969)
    このRock My Soulという曲を聞くと、「暗いスィング感」という造語をしてみたくなります。足元から揺さぶられるようで、ゆったりとしながら結構シブトイんですね、このスィングは。冒頭のRat Nowも良いです。
  3. Speak, Brother, Speak /from 'Speak, Brother, Speak/Max Roach'(1962)
    やはり、Speak, Brother, Speakでしょう。無論、Max Roachがリーダーで偉いんだけど、Clifford Jordanが居て、何よりもMal Waldronが居てこそこの名演となったと思います。例のモールス信号もやっています。アドリブの途中で、恐らくは店外から車のクラクションのような音が入り込み、それにベースが直ぐに反応して、という「空耳アワー」のような部分が、何なんだろうと不思議です。
  4. Fire Waltz, Bee Vamp, The Prophet, Aggression, Like Someone in Love /from 'Live at the Five Spot Cafe/Eric Dolphy'(1961)
    Fire Waltz, Bee Vamp, The Prophet, Aggression, Like Someone in Loveという全ての曲で、サイドメン物とは言え、準主役のMal Waldronが異彩を放っているのです。
  5. Catwalk, Left Alone, You Don't Know What Love Is, Minor Pulsation /from 'Left alone'(1960)
    これはJackie McLeanを聞くなら、Left Aloneでキマリですが、ここはMal Waldronの好演奏を挙げる場ですから、やはりCatwalkであり、You Don't Know What Love Is以外にありません。この重い足取りがこの人の特徴であり、良さです。Minor Pulsationもお忘れなく。
  6. A View of St. Luca, All Alone /from 'All alone'(1966)
    Nelsonの友達のクラシック好きに結構受けるのが、A View of St. Lucaと、そしてAll Aloneです。なかなか目が出なくて、というわけでもないんでしょうが、訪欧後暫くして、やっとあり付いたソロ録音です。
  7. Blue Monk, Straight Ahead /from 'Straight Ahead/Abbey Lincoln'(1961)
    呪術的な暗さを伴うBlue Monkを唄うAbbey Lincolnも良いが、そこにMal Waldronが更に闇の濃さを増す役割をしています。
  8. Confirmation, Sentimental Journey /from '4,5 and 6/Jackie McLean'(1956)
    このConfirmationは3管が目立ちますが、実はMal Waldronのアドリブが一番好きです。未だ自己の特有のスタイルを押し出すところまではいっていない修業時代の、しかしハードバップとしては立派なレベルに達している好演奏です。
  9. What It Is /from 'What it is'(1981)
    やはり、持ち歌のWhat It Isの演奏ならこれです。この種のジャズにおけるClifford Jordanのはまり具合、良さは何者にも代え難い貴重なものです。
  10. Booker's Waltz /from 'Eric Dolphy/Booker Little Memorial Album'(1961)
    このBooker's Waltzのホノボノとした演奏の良さは、この人達の気持ちをそのままに表してます。Eric Dolphy/Booker Little追悼盤のこれには2曲しか入っていません。
  11. The Way You Look Tonight /from 'Jackie McLean Quintet'(1955)
    このThe Way You Look Tonightは、Donald ByrdやJackie McLeanもいる初期の演奏ですが、捨て難い良さがあります。Mal Waldronのハードバップ期の名演の一つです。
    以上は、この人の音楽的な背骨を拾い上げたものです。
    後は、音楽的にどうこう言うものではないし、万人向きではないけれども、Mal Waldronが好きになってしまった人向けです。兎に角この人の黒っぽい音選びと、粘るスィング感を楽しみたければ(そういう人がNelsonも含めて結構多いんです)、以下なんかは薦められます。
  12. Quiet Temple (All Alone) /from 'French Story (フランス物語)’(1989)
    このQuiet Temple(沈黙の寺)は、実は上記6のAll Aloneそのものの別名なんですが、「泣き」が呼び物のBarney Wilenとの共演でこれをやっているのを思い出し、落とす訳にも行くまいと言う次第です。もう一つ、これはマルセル・カルネ監督の「マンハッタンの哀愁」という映画の主題歌になっているそうです。
  13. Alone Together, Yesterdays, No More Tears /from 'No More Tears for Lady Day'(ALFA JAZZ ALCR209)
    このAlone Togetherや、それ以外でもYesterdaysの料理の仕方は、「よぉやるなぁ」、と言うしかないマル訛りが気持ち良いから不思議です。No More Tearsなんかも含めて、マル以外の誰でもない、マルしかやらない曲の展開が楽しめますが、ここまで行くと、もうドップリですよ。(この人は、150枚以上は録音があって、未だ生きていますからね。)
  14. Lonely One /from 'Smoke Gets in Your Eyes' (ALFA JAZZ ALCR116)
    ということで、ここまでくればもう底無しというマル臭さです。このLonely OneはNat Coleが唄ってヒットした物悲しい曲です。

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