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オブリガート(Obligato)

  • 「オブリガート」はラテン系の単語で、語源とされる動詞の「Obrigar」は「恩義がある」、「義務付けられて」、「役に立つ」とかいう意味で、類義語である「オブリガー」は「ありがとう」の意思表示にもよく用いられます。それが、音楽の場合には、主旋律を引き立たせる副次的な旋律を指し、別の言い方では「助奏」、「カウンター・メロディ」とも言います。主旋律を引き立たせる役目をして、「役立つ」という意味なのでしょうか、詳細は判りません。クラシックでは指定された旋律どおりに演奏する場合が多く、ポピュラー音楽ではもっと演奏者の自由に任せるのが、普通です。
    コンボをバックにしたヴォーカル
  • 既に例に挙げたI Cover the Water Front: from 'Here's to My Lady'/ Rosemary Clooneyは、以下の点で、ジャズにおけるオブリガートの好例です。第一に、小編成のコンボをバックに歌うヴォーカリストをサポートするように演奏されています。第二に、オブリガートを付けるのがサックス、トランペット等のフロント楽器です。第三に、サポートするオブリガートに即興性が強く感じられます。この辺が揃っていて、しかも「なるほどなぁ、、、」と唸らせるのが、本チャンのジャズ・オブリガートだと考えています。
    アレンジものは?
  • 例えば有名なヴォーカルの、Falling in Love with Love: from 「Hellen Merrill with Clifford Brown」をお聴きください。この歌では、Hellen Merrillのバックで、サックスやトランペットが交代で、きれいなオブリガートを付けています。そして、良く聴くと、後テーマのバックでもまったく同じフレーズで付けています。これは、何回かのテイクの経過で、さっきのフレーズが良かったから、アレで行きましょうということで付けられているのだ、と推測できます。まぁ、言わばアレンジものです。ビッグバンドものにも、そういうのが多いようです。例えば、Fly Me to the Moon: from 「At the Sands with Count Basie/ Frank Sinatra」では、フルートやリード群がオブリガートを付けています。ビッグバンド自体がアレンジ前提です。例えばリード・セクションがオブリガートを付けるとしたら、ハーモニーが必要ですし、事前に「こういう感じで」と決めておいての伴奏になります。そのバンドにフィーチュア・ソロイストがいる場合には、その人が立ち上がって自由なフレーズを付ける場合も、ままあります。これも、オブリガートです。セクション全体で合奏で付けている場合は、ちょっと話が違う気もしますが、こういう即興性が薄いものも、広い意味では、オブリガートです。
    ピアノは?
  • 歌伴がピアノトリオの場合は多くあり、ヴォーカルのバックでピアノがサポートのフレーズを入れます。例えば、I Left My Heart in San Francisco: from 「Live at the Sugar Hill/ Carmen McRae」の名唱があります。相性が良いNorman Simmonsのトリオが伴奏で、彼女のヴォーカルを引き立てています。そこここに、「サックスがやれば、オブリガートだなぁ」というピアノのフレーズがあります。これも広義のオブリガートに入りますが、こういうピアノを、取り立ててオブリガードとは余り言わないようです。同じく、ドラマーが入れるオカズ、つまりフィルインも、良く考えてみれば一種のオブリガートなのですが、取り立ててそういうことは余りありません。
    オブリガートの楽しさ
  • 古くは、Coleman Hawkinsや、Ben Websterの名オブリガートなんてのもありました。ギターが付けたり、メインのヴォーカルの裏でコーラスが「ワーー」とか、「ウーー」とかハモる場合もあるようです。このような彩りになるので、なかなかに、オブリガートも楽しいものです
    (以前はこの項目を「オブリガード」と題していましたが、さる方から「正しくは、オブリガートだよ。」とのご指摘を頂いて、訂正しました。ご指摘ありがとうございました。)

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