(Home - Jazz Glossary / BACK)

倍テンポ (Double Time Feel)

  • スローからテンポが速まって聴こえるということは、演奏者が熱してくるというか、激して居つつあることの象徴のように思って、思わず身を乗り出してしまいます。
    Sonny ClarkのSoftly as in a Morning Sunriseで、、、
  • 既に書いたように、初めて倍テンポに接したのが、Softly as in a Morning Sunrise: from 'Sonny Clark Trio(BN)'で聴いたSonny Clarkのアドリブです。「調子が良いなぁ、スゴイなぁ」と聴いているうちに、3分10秒辺りから何かがモゾモゾと始まり、ピアノの音数が多くなってきます。すると3分57秒辺から、Philly Joeのブラッシュが「サッ、サッ」から、「ササッ、ササッ」と言い始め、ベースも少し変化します。そして、いつの間にかトリオ全体が倍テンポになっているのです。でも違和感は全く無く、むしろこの方が自然か、とさえ思えます。速くなったからといって、美音群が無機的なスケール練習のような音群になってしまうこともありません。まだウブだったもので、「ヘェーッ」と感心しているうちに、また4分35秒辺からピアノの音数が減ってきます。そして、ブラッシュも「ツタッ、ツタッ」なんて感じに落ち着いてきて、また元のテンポに戻っていきました。そこで起こっていることは認識しましたが、それが何であるのかはまだ判りませんでした。暫くして、世の中ではそれを「倍テンポ」と言うんだと判ったのです。まぁ、アノ頃は何にでも感激してたんですがね。「オーッ、これで俺も一つ賢くなったんだ」と前向きに捕らえていた青年期でした。
    ペトさんだって、、、
  • Michel Petrucciani、ペトさんもこの手法では抜きん出ており、特に圧巻はThese Foolish Things: from 'Conference de Presse, L'integrale/ Michel Petrucciani with Eddy Louissです。この10分を超える演奏は、只でさえそれほど遅くは無いテンポで演奏されるんですが、委細構わずペトさんは2分55秒から、倍テンポに突っ込んでしまいます。しかも、「アレヨ、アレヨ」と驚く聴衆を前に、32分音符かと思える程の実に細かいフレーズながら、3分35秒までの間、一気に弾いてしまいます。更に8分58秒から9分33秒までの間も、又倍テンポです。しかも倍テンポになっても、曲想の展開に乱れは全くなく、更に「詠嘆ここに極まれりという美音の洪水」となっています。これを聴いた聴衆も、我等がピアニスト(母国でのライブですけん)の妙技に、万来の拍手で盛り上がっていました。
    大事なことは、、、
  • まぁ、これ位にしておきますが、この手法は「入り」と「出」の両方がスムーズであると全く素晴らしい演出になります。つまり、いつの間にか倍になり、いつの間にか元に戻る場合です。特に気が付かないんだけど、後でよく考えてみると「何かエライ盛り上がったなぁ」と不思議になります。そこでもう一度聴き返してみると、実は演奏が倍テンポになってたんだと判る、というのが理想でしょう。もう一つ、倍テンポに突っ込んだんだけど運指が追いつかず、従ってアイディアどころの話じゃなくなり、スケール練習になってしまう、なんてみすぼらしいこともイカンですね。
    スローなバラード曲は難しい(らしい(^^;)
  • 辛口な事を一つ言うと、そこら辺の若い衆が一丁前に「バラードもやんなきゃぁ・・・」と始めたものの、くちばしが黄色くてはバラードは持ちません。その挙句の果てに、とてもアドリブがこなせ無いと自覚し、「苦し紛れにテクに逃げて、倍テンポ」というケースが時々あります。どうも、これは願い下げというものです。。

(Home - Jazz Glossary / BACK)
アクセスカウンター