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Cliff Jordan: Tenor Saxとしての特徴
「人とその周辺」で触れたように、Cliff JordanはJazzの本場Chicago生まれの本流テナーサックス奏者です。
切れ味と言うよりも、柔らかさ
この人の音は、ブバッ、バリバリというような切れ味の凄さよりも、若干重めの、でも引きずるほどではない柔らかさを伴い、それでいてフレーズは明快で判りやすく、何よりもブルースっぽくて、というところでしょうか。そういう意味で、この人がCarlie ParkerとLester Youngを師として挙げながらも、やはりLesterの方が好きと言っている事は納得でき、つまり波乗りのようにスムーズにスィングする面が印象的といえる。また、Powerfulと言う表現がよく使われるように、疲れを知らないのではと思える力感溢れるアドリブの展開は、聴くものを圧倒します。
何とも言えない中低音
幾つかの曲の演奏では、時にBaritone Saxかと思えるような低音使いをする事でも分かるように、基本的に中高音のピヤーッと言う音はあまり使いません。よく判らないので、間違っているのかもしれませんが、テナーの中低音と言うのは聞くものをある種のトランス状態に引き込むような気がします。これは、この人がブルース・バンド出身である事と無縁ではなく、何故か人を惹きつける演奏の要諦として、基本的に中低音でしっかりした音作りをし、それを基に、種々の変化を繰り広げると言うのがこの人の魅力でしょう。
演奏スタイル
取り合えず、ハード・バップ系の男性的なテナーサックス奏者という仕分けがなされているとして、もう一つ触れておきたいのが、Horace SilverやCharles Mingus等との演奏活動で、特に後者主催のWorkshopではDiscographyでも分かるように名盤が何枚も生まれました。つまり、簡単な設定でブローする場合でも凄いということは事実ですが、それなりの約束で集合的な演奏をする事にも関心が強く、そしてそういうスタイルにおいても、際立った魅力を発揮できるのはやはり音楽的な素養がしっかりしているからでしょう。そしてその事もあってか、晩年には魅力に満ちたビッグバンド盤を何枚か出しています。
不思議な魅力のオリジナル
こう書いてくると、彼の後にSilver Bandに入ったJunior Cook、それにやはり共通した面をもつBooke Ervin等を思い浮かべられるかもしれません。しかし、そういう人達と違って、Clifford Jordanはリリカルな面が結構強く、それは不思議な曲作りにも現れています。'In the World'のViennaは言わずもがな、'The Highest Mountain'のThe Highest Mountain然り、'Meets Klaus Weiss'のEyewitness Bluesもいけるし、'Roots( Slide Hampton)'のPrecipiceもそうです。どこかの国の特別な旋法、即ちモードがベースなのか、よく知りませんが、特有の何ともブルーな曲想が人を惹きこみます。
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