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バラード曲のインスト演奏を聴く際に大事なこと
  • バラード曲のインスト物に馴染むには、誰かヴォーカルの名手が唄ったヴァージョンを鼻歌で歌える位にまで覚え込むことだ、というお話です。たとえば・・・
    「Nat King Cole : The Very Thought Of You」の歌詞
  • The very thought of you and I forget to do
    The little ordinary things that everyone ought to do
    I'm living in a kind of daydream
    I'm happy as a king
    And foolish though it may seem
    To me that's everything
  • The mere idea of you, the longing here for you
    You'll never know how slow the moments go till I'm near to you
    I see your face in every flower
    Your eyes in stars above
    It's just the thought of you
    The very thought of you, my love
  • The mere idea of you, the longing here for you
    You'll never know how slow the moments go till I'm near to you
    I see your face in every flower
    Your eyes in stars above
    It's just the thought of you
    The very thought of you, my love
  • この「The Very Thought Of You」という曲は、中々しみじみする曲想の人気曲ですから、素晴らしいヴォーカル物が沢山あります。多くの方は、そういうヴォーカル物でこの曲に馴染んでから、インストルメント演奏も聴くと言う運びになる筈です。ヴォーカル物が色々ある中で、このNat King Coleヴァージョンがお好きだとしましょう。気持ちを込めてしっとりと唄っていますから、「良い曲だなぁ、ひいきにしたいなぁ・・・」と思う方が多いと言います。そういう方が先ずすべきことは、しっかりと歌詞を読み込むことです。国内盤なら、殆どの場合に歌詞が付いているでしょう。その歌詞カードで、この曲はどういう感興を唄っているのかを掴み、それが3番まで繰り返される中で具体的にどう表現されているか、を把握しておくと、この曲の感じが掴めます。次に、歌詞の一部でも良いから、口ずさめる位にまで歌詞を覚えてしまうこともお勧めします。すると、その曲を自分で掛けた時、あるいは何かの機会にその曲が流れてきた時などに、直ぐに頭の中に歌詞が出て来て、その曲の世界に入り込めるようになります。それがバラード曲に限らず、多様なジャンルの曲に馴染むには必須の、聴く側の素養と言うと大げさですが、要諦です。
    Dexter Gordonだと・・・
  • Dexter Gordonは、「バラード曲を吹く時は、先ずその前に歌詞の一節を口ずさんで、それから吹き始めるんだ。」ということを良く言った人です。実際のライブ盤で、この趣旨に沿って歌詞をワン・フレーズくらい呟いて、それからやおら吹き始めている録音もあります。例えば・・・と思って棚を探して、多分これもそうだった筈だと掛けてみるとビンゴ!好演盤には採択していませんが、これも良い盤である「Live at the Carnegie Hall」(Columbia/Legacy CK65312)では、3曲で歌詞を紹介してからテナー・サックスを吹き始めています。
  • まず最初は、「Secret Love」ですが、「Once I had a secret love・・・And my secret love's・・・No secret anymore.」と所々端折っているものの、どう言う曲なのかが判ります。
  • 次は、「The end of a love affair」ですが、「But what else can you do・・・At the end of a love affair?」と口ずさんでいます。
  • そして3曲目が「More than you know」で、「More than you know, more than you know・・・Lately I find you're on my mind. More than you'd ever know.」となっています。
    Chet Bakerも、、、
  • ・・・と書いていたら丁度、右掲したChet BakerがGerry MulliganとやったCarnegie Hallでのライブ盤にも同様の趣向がありました。3曲目で十八番の「My Funny Valentine」をやろうとした時に、やはり歌詞を引用しています。Chetはトランぺッターでありながらあ、おハコの「My Funny Valentine」だと必ずヴォーカルも披露します。この曲の出だしは、マンマの「My Funny Valentine・・・」というものですが、このライブでは曲のタイトルそのものである歌詞の出だしを嫌ったのでしょうか・・・ひと捻りして曲の末尾の歌詞を口ずさんで見せました。歌詞の末尾は、「Don't change your hair for me, not if you care for me. Stay little funny Valentine・・・Stay!」というものでした。それを紹介して聴衆の心を一気に掴むと、その流れのままトランペットでメイン・テーマを吹き始める様子が、この盤で聴けます。その辺りが手っ取り早く判って頂ける「ヨウツベ」だと、現時点で生きて居そうなリンクは、これくらいです。これだと、聴く方はこの曲の演奏を既に聞いた感じで、言ってみればアンコールを聴く感じで、それに続く演奏に自然に感情移入出来る訳で、これも実にうまい掴みの好例でしょう。
    歌詞をうろ覚えでも知っていれば・・・
  • 我々聴く側もバラード曲のインスト物を聴く時に、同じ狙いで鼻歌で唄うと、演奏のそこここで「ナルホド、そうか! ここでこんな風に急に詠嘆気味に唄い上げるのは、歌詞がそうなっているからなんだ。」等と首肯されることでしょう。同工異曲のことは、Ben Websterや、Charlie Parkerも何かのライブ盤でそうしていることを認めているのを聞いた記憶があります。ピアノでは、Cedar WaltonKenny Drew等も同趣旨のことを言っています。
  • この様に、歌詞をある程度知っていると、インスト演奏を聴いている時にも、何故ここでこういうフレーズを使いたくなったのか、が判る時があります。また上記「The Very Thought Of You」の歌詞でイタリックスにした「押韻」(この場合はフレーズ末尾の単語が綴りは違っていても、音が「ゥー」で共通していて韻が踏まれてい)しているる感じが伝わってきます。その感じがインストの吹き方にも出て来る演奏などでは、実にしっくりするものです。また、歌詞が悲嘆にくれる気持ちがアリアリと判ったり、喜びでウキウキしている時にジャンプするフレーズが使われたり、、、ライブなどで聴衆を舞台に惹き込むために、色々とジャズメンが試みることの狙いが伝わって来て、興味深い時があります。

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