どの程度起こるか
- 現在のところ、Nelsonの場合はダブり物の使い方があるので処理に困ると言う事は無く、ただお金が無駄になったことと、ダブりを見抜けなかった不甲斐なさを嘆くと言う悔しさだけで済んでいます。過去も含めて、ダブりの総数が大体100枚強あるようですから、2-3%のダブりが発生しています。多いのか少ないのかは分かりません。昔、万余を所蔵する先輩から、ダブり盤だと言って、少し分けて頂いた事がありましたから、慧眼の収集家と言えども全くダブらないで収集を進める、ということは不可能なようです。
意図的なダブり
- 先ずは、ダブリじゃないダブリについてです。足で稼ぐ猟盤では、「こんなところに」というような場末(失礼)の店で、とんでもないものに出くわす事があります。そして、その盤を自分では持っていたとしても、猟盤の経験からしてそれが珍しい部類に入り、しかも探している人がいる、というような珍盤である事が、たまにあります。その時に余裕の金が無ければ放って置きますが、懐が暖かいときは、友人との交換のネタとしてとりあえずゲットということになります。珍盤は、探そうと思って見つかるものでなく、たまたま出くわしたから目に止まったわけです。その盤を長らく探している人にとっては、「どこで見かけたのか、おせーてょ」ということになります。そして、後日その人が行ってもあるとは限りませんから、押さえて置いてあげるのは世のため人のためになる、崇高な行為です(^^;) 無論、その後にその店に行った別の収集家は、日頃探しているその珍盤には出会えないわけで、その人にとってははた迷惑な行為ですが、、、
もう一つのダブり
- これはNelsonは余りやりませんが、マニア的に細かいジャケ違いを揃えるとか、RVG 24bit Masterだからそれも買う、というダブりです。つまり、ご当人にとってはダブリではないとも言えます。こういう状況にある人は、よほどその演奏者に入れ込んでいるわけで、「全部持っている」ことに相当のこだわりがあるのでしょう。「そンな金があったら、もっと違った盤を買って聴いたら」と思いますが、それも好き好きの範疇なのでしょう。Nelsonでも、アナログとCDの両方を持っている場合は、ダブリという認識はありません。音が違う場合もあるし、曲飛ばしや、ながら聴きには、CDが打ってつけですから。
どういうのがダブルか
- 上記のような意図的なものではなくて、「こりゃぁ良い」と思って買ったのに、という盤の話に移ります。ある程度ジャズを聞きつけていると、自分のコレクションの他に、過去にどういう盤が出ていて、最近の新発売盤はどういうものか、が自然に頭に入ってしまいます。そういう状態なると、例えばBlue Noteや、Prestigeの名盤を間違って2枚も買うことは殆どありません。再編集ではなく、構成が原盤と同じものならば、ジャケットも決まっているし、恐らく評判なども分かっていて、しかもジャズ喫茶などで既に聞いたことがある盤ですから、間違うことは少ないでしょう。従って、ダブりは主としてマイナーレーベルか、メジャーでの再発物ということになります。
原盤テープの流出
- 音源のテープはレコード会社にとって最大の財産ですから、大事に管理されています。その音源には、編集前の生テープ、音を整えたマスター、それに昔はマザーやタンパーなどというプレス直前の金属盤等がありました。会社倒産時も大事に受け継がれていくものです。専属プレィヤーの正規録音はこのようにしっかり守られています。しかし、主としてライブなのでしょうが、闇録音や、闇でなくてもラジオ・テレビでの放送のための音源などは、専属契約との関係を潜り抜けるのでしょうか、流れ流れて世の中に出てきます。最初は、隠れた名演等と言って珍重されるわけですが、そういうテープの管理は結構ズサンらしく、色んな形で市場を転々とするようです。その手のものはジャケットなども新しくしますから、聴いてみないとダブりの判断は出来ません。従ってダブり買いは避けられないのです。
例えば、、、
- 昔の事ですが、結構話題になったのが、Max RoachやCharlie Mingus WorkshopのCandid録音や、欧州録音です。先ず「We Insist」という盤で海賊盤が出て、話題になりました。当時人気のグループの録音で、しかもCandidが倒産して盤が出回らなくなったもので、欲しい人は探しまくったのです。探し回ったところ、「原盤はあのAndy Williamsが保有している」なんてことまで分かって、皆が「ヘェーッ」と言ったものでした。次がCharlie Mingus Workshopの盤、「Mingus Presents Mingus」等です。特に「Fables of Faubus」という曲は、南部では発禁になったという噂が飛び交いました、これが入ったパリ録音は、Ameiricaという聴いたことの無いレーベルがペナ・ジャケで売り出し、次にそれが海賊盤で回収されたとか、色々ありました。これはBootlegというわけではないのでしょうが、でも聴きたい演奏の場合、ファンは海賊版でも買いますからねぇ。この手のものは、Jazz Greatsならどの人にも起こっています。Miles Davis、Stan Getz、John Coltrane等、結構色んな盤が出ています。Bootleg関係は録音データも不正確ですから現品を見ただけでは分からず、聴いてみるしかないのです。
メジャーの再編集盤
- CD時代になって収録時間が長くなり、別テイクなどを追加する動きが定着しました。Michael Cascunaの発掘活動の本拠、Mosaic社のサイトに行くと感服しますが、実に多くの埋もれた録音が世の中にはあるようです。一部の頑固な社長が、「一度捨てたものを戻すのは、正しい行為ではない」と、原形の保持に固執していますが、世の大勢は発掘歓迎の方向にあります。Cadet、Chess、Atlantic、Presitige等々のように再編集のときに、2枚を一枚に納めるのは大歓迎でしょう。これらのレーベルは、一枚30数分なことが多かったので、2枚でも十分にCDに収まるのです。「A Night at the Village Vanguard/ Sonny Rollins」のようにごっそりボツ録音があって、それを別盤にして出すのは異議ありません。「The Complete recording」という企画も、例えばJohn Coltraneの「Village Vanguard4枚組」などは、全編が名演揃いで、文句ありませんし、拍手ものです。しかし、全く同じ内容で標題を変え、ジャケットも新しくされると、好きな演奏者だけに直ぐ手が出て、聴いてみると「なんだダブリかょ」となるのは腹が立ちます。す。そういうのは録音データも不正確ですから現品を見ただけでは分からず、聴いてみるしかないのです。
OJC、32 Jazz、Collectables等々
- OJC、32 Jazz、Collectables等々の再編集物には特徴があります。先ずOJCですが、殆ど発掘音源の追加はありません。ここの場合、むしろ出回り数の少ないLimited Edition物を見つけたら、兎に角買っておくことが必要と思います。2度と御目に掛かれない可能性が高いのです。また似た音源で、Prestige PRCDのシリーズは、OJCとは全く違います。あるジャズメンに焦点を当てて、収録時間一杯まで詰め込んだ物が出ています。値段も、OJCの設定とは違い、少し高めのレギュラーな価格です。これにはいい物が結構あります。32 Jazzは、Museなどを復刻すると共に、2枚を一緒にしたり、追加音源を付加します。そして意匠を全くガラリと変えて、ド派手なものにしますから、気をつけないと持っていないと勘違いして、ダブります。ここは未発売物も出すので、見かけたら取り敢えずのチェックは必要です。Collectablesは、CBS、Epic等の復刻で、2枚一緒にすると言うこともやります。ここも要注意です。
悪いのは自分か、、、
- ダブリの盤を、一度全部並べてみました。一つ共通点かなぁ、と思えることがありました。好きな演奏家の、でも聴いてみて内容的にはどうかと思える、出来が今ひとつの盤が多いようです。つまり筋書きはこうかもしれません。好きな人だから手が出る。買ったけど、出来が良くないので早々に仕舞いこんでしまう。従って記憶に残らない。次に目にしたときに、手持ちであることを思い出せないので、また買ってしまう、というような具合でしょうか。悪いのは、どんな駄盤もしっかり聴いて、評価を明確に下し、二度とそれには手を出さない、ということのできない自分です。ダボハゼのように考えも無く何にでも食いつくNelsonがいけないのです。(良ーく分かりました。でも、またやるんだろうなぁ(^^;)
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