(Home - 某月某日 / BACK)

Tony Lakatos Quartet

  • 今回のTony Lakatos Quartetのライブは、水戸市の自由が丘スタジオで、10月3日(金)に行われました。
    面子
  • 出演したTony Lakatos Quartetは、リーダーのTony Lakatos (ts,ss)が、リズム・セクションとして、Antonio Farao (p)、Boris Kozlov (b)そしてDonald Edwards (ds)を率いています。そして、リーダーの実弟のRoby Lakatos (vn)がゲストです。メンバーの素性は、例えばこのあたりなんかを見るとよくわかります。
    仕立て
  • このスタジオは、水戸市から笠間に向かう50号線沿いの自由が丘にある、さる外科医院の敷地内にあるログ・ハウス風のもので、屋根の傾斜を巧く利用した、少しゆとりのある室内高と、木造であることが幸いして、音の響きは悪くありません。室内の四分の一くらいを舞台に、残りを客席に仕立て、丸見えながらの楽屋区域も取ってあります。当方は時間前に着いたので、好みの位置である最前列、リーダー近くで、かつピアノの手さばきが見える所に陣取りました。見回すと50人分前後の席が用意してあり、定刻には満席でした。
    レパートリィ
  • 演奏は、リーダーのTony Lakatosの新盤「I Get along with You very Well/ Tony Lakatos (Skip SKP9036)」がらみの曲、ヴァイオリンをやるRoby Lakatosがらみで「Mr. Stephan Grappelli」とかいう曲、そして「Chrokee」「Prelude to a kiss」等のスタンダード曲など10曲を超えるもので、7時半過ぎから11時頃までたっぷりの2セットやってくれました。
    Tony Lakatos
  • まぁ、ロリンズ系というんでしょうが、トレーンを踏まえているのは今のテナーに共通なことです。グロスマン等もそうですが、しかしこの人は風貌が茫洋としており、音も柔らかめな所が特長かと思います。セットの合間の休憩の時に、「Can I have your signature, here ?」と近寄って行き、持参した数枚の彼の盤の中から、「The News/ Tony Lakatos with Al Foster, Kirk Lightsey and George Mraz」 (Jazzline JL11140)のインレイにサインを貰いました。実は「Live in Budapest」 (Laika 35100742)の方が好きなんですが、これは見開きジャケの全葉が真っ黒が基調で、サイン向きではありません。それで、Dusko GoykovichやTrio Acousticとやった盤等も見せながら、「Here's 'Live in Budspest' and this is superb. I love this.」、「Oh, You have everything.」なんて会話を少ししました。声も柔らかめで、人懐っこそうですが、なぁに、東欧の人はそれほど単純ではない筈です。
    Antonio Farao
  • 最初、ピアノの椅子が低すぎるんで、「リハをちゃんとやったのかなぁ。」といぶかりましたが、この人にはそれでよかったようです。曲によっては、両方のペダルを踏みっぱなしにしたり、床に缶ビールを置いて、真っ赤になりながら、でも、呑み続けていました。演奏はいつも通りの弾きまくりで、クラ出の人特有、というか欧州系に多いテク満載の実力を発揮していました。もう少し黒っぽく粘る方が好みですが、それは無理な注文でしょう。一曲、彼のオリジナルの「Bond」が演奏されましたが、愛犬の名前だそうです。
    Boris Kozlov
  • David Kikoskiに付き合ったり、Mingus Big Bandでやったりする人らしいですが、馴染みはありません。軽く弾くのも、重めに弾くのも巧く、実に良いベースを弾きます。一度、駒近くでトレモロをやりましたが、巧いアクセントになっていました。
    Donald Edwards
  • ルイジアナ出の黒人らしく、さすがにビートがうねります。テクも凄く、押し引きが異例にしっかりしています。トムトムの皮にスティックの端を置いて、もう片端をリムに当ててやる早打ちリム・ショットは初めて見ましたし、効果的に使っていました。Bドラの径が小さめで、「大丈夫かょ」と思いました。でも、ふくらはぎ辺に来る重低音はさすがに出ていませんが、小さい部類に入る会場ですし、しっかりとBドラとしての役目は果たしていました。ハイハットでやる「ツチーッ」も、実に堂に入っていました。2回位、長目のソロをやりましたが、「バシッ、、」と収まるスティックさばき、強音と弱音のメリハリ、色んな叩き方により意表を突く打音等々、いずれを採っても一流には違いありません。この人のドラムスは、カミサンからも「大きな音はするけど、うるさくない。」等と一丁前の批評家口調での一言があり、夫婦そろって気に入ってしまったようです。
    Roby Lakatos
  • ジャズ・ヴァイオリンも、この頃はしっかりと市民権を得ていますが、この人は、ジャズ専門ではなさそうです。しかし、かなりCDを出しているだけあって、ジャズの場でも違和感は無く、特にこの楽器の弱点である「引き摺り感」があまり無いのは流石です。この日もやった「ミスター・グラッペリ」と、アンコールにやってくれた「チェロキー」は、過去に録音もしている手持ちの曲のようです。 ダリよりも細いが、しっかりと跳ね上げたドジョウ髭が、しっかりとディップされており、まさにロマ(「ジプシィ」のpolitically correctな表現です)そのものの風貌です。ある曲では、弓を全く使わず、ピチカートだけでアドリブを弾き切っていました。確かに、やって出来無かぁないんでしょうが、聴いたのは初めてで、しかもちゃんとジャズのアドリブになっていたから、スゴイもんです。ところで、ディップの香料がきつく、我々夫婦の前が居心地が良かったたらしく、殆ど居続けだったので、途中からカミサンは閉口していました。とは言え、無線マイク付きのヴァイオリンという演奏スタイルだったのですが、眼前で弾くもんですから、楽器の原音が聞けました。それ自体は弱音ですから、その会場で彼の楽器の原音を聴いたのは、我々だけだったと思われます。
    、、、てなことで
  • 「さすがは、ワールド・クラスのジャズメンだ。」と感服させる素晴らしいギグでした。たしかに、のけぞりこそしませんでしたが、そんなことはそうあるもんじゃァありません。自由が丘スタジオという会場も良かったし、時間もたっぷりあったし、こんなのが近くの街で聞ける時代になったんですねェ。次の日からしばらくかけて、この面子の参加している色んな手持ちCDを、また聴き直しました。
    追伸
  • 先ほど、ちょっと散歩していたら、ピットインでの印象記がありました。アンコールも含めて、殆ど進行が同じだったようです。

(Home - 某月某日 / BACK)
アクセスカウンター