2003年6月某日 (2)
- 最近話題の多いCCCDが、ついに我が所蔵物に入り込んできました。17歳の天才という触れ込みの松永貴志さんがやったピアノオ・トリオ盤「Takashi」です。カミサンが良さそうだと言うので、早速ゲットしたんですが、Nelsonが入手した最初のCCCDと判明しました。この厄介な代物は、「CDPを壊すこともあり、御注意」と聞くので、常用ではないCDPでちょっとチェックしました。エラー信号でランプが点滅するDACも持っているので、それにデジタル信号を入れてみると、盛大にランプが点いたり、消えたりしています。未完成なというか、はっきり言って「不良品」を買わされているこっちは、堪ったものじゃないですな。まぁ、しかし、再生の方はどうやら大丈夫なようなので、メインのシステムで早速聴きました(なんで、こんなメンドウなもの売るんだよォ)。
- それはさておき、新人のデビュー盤を聴くのは、胸膨らむ瞬間です。最初に2曲あるオリジナルの演奏は、立派にジャズになっており、スルッと耳に入りました。まだ紅顔の高校生とは信じ難い、なかなかのジャズです。「可愛いンだから、、、」と言っていたカミサンは、彼のオリジナルの「メロン」が良いと言っております。何曲かあるスタンダードは、まぁ、悪くはありませんが、曲想の範囲内での展開かな、とも感じました。「もっと破天荒な演奏か」と期待したんですが、、、その後、何回か繰り返し聴き直しました。「まだまだ、ハチャメチャでも良い年頃なのになぁ。もう、結構サマになってしまってるなぁ」というのが、取敢えずの所感です。
- 松永さんも若いんですから、今すぐに米国にでも行って武者修行されると、良いジャズメンに成られるような気がします。「それも、変な音楽学校などに入るのではなく、クラブ回りなどをして広くて深いジャズの洗礼を受けられると、良いのになぁ。」そういう汚いジャズ、日常生活としてのジャズなんかが、この人のピアノに、何かを付け足してくれないでしょうか。このままでは、「小粒なジャズメン止まりになるのでは」と危惧します。それは、勿体無いことです。これだけの才能だし、まだまだ若いんだから、武者修行をする時間的余裕もあるし、わざわざそれをするだけの価値がある、類稀な素材のようですから、、、
- 奥平真吾さんも同様に神童と言われて、早くから活躍し、今や立派な位置を占めておられます。でも、秋吉さんや、中村照夫さんのように、国際的に活動し、住まいも向こうということではないようです。George MrazやToots Thielmansのように、一時期完全に祖国から移住し、十年以上も国際的な場で揉まれた人達がいます。二人とも、5,60台になってしまった今は、また欧州に戻っているようです。ある時期になって故郷に錦を飾ることは、それはそれでまた、素晴らしいことです。しかし、ある十数年間を、色んなジャズメンと他流試合をすると、その後故郷に戻っても、やはり地付きの人たちとは、スケールが違います。風習がまったく異なる外国での厳しい日常生活に耐えてジャズをやり続けることと、面食らうようなジャズ・スタイルの人と他流試合を重ねることには、自ら「ぬるま湯」から飛び出して退路を絶つという点で共通するものがあります。生活とジャズでは違うと言えば違いますが、そういう厳しい状況でしか得られないものがある気がします。ここ2,30年、国内・外から色んな新人が出ています。最近も、多くの目覚しい才能が顔を出し始めていますが、数年経つと、「あの人、今はどうしてるの」ということが結構あります。先年、ピアノのSergio Salvatoreが、同じく十代でデビューして騒がれました。この人の場合は、現在、正直言って「鳴かず飛ばず」としか思えません。「勿体無いなぁ」と思います。
- 、、、ということで、同じ新人さんのデビュー盤を聴いても、寺○さんとは異なることに、こだわりました。無論、「無色透明の」今の状態でも素晴らしい素材だという点では、寺○さんと同意見です。でも、そこから先を望みたくなります。ジャズ親爺にしては、生意気なことを書いてしまいましたが、でも、実感です。勿体無いです。
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