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2014年某月某日:横浜から流れて池袋・・・

  • 「横トリ」を見た後、中華街で子供達と晩飯を食ってから、ホテルで泊り、明くる日はそのまま帰っても良いけど、「まぁ、そこはソレ・・・」ということで、池袋で少し猟盤を試みました。ブラブラしながら、「あれっ。この辺にレコファン、無かったっけ・・・」(都内は渋谷と大森の2店に集約された模様)等と一人語ちつつも、何か所か回って結構なものを保護しました。
    「タワーレコード池袋店」
    1. The Complete Bremen Concert/ Charles Mingus Eric Dolphy Sextet (Jazz Lips JL774, 2CD's)
      ドルフィー入りのミンガス学校の欧州楽旅盤は数多くあり、その殆どがCD化される中で残っていた、元は3枚のLPだったものを、2枚のCDに収めて、これまた「世界初CD化」を謳った復刻モノです。約半時間にも及ぶ、例の「寓話」の再演は、アレンジが実に精妙でありながらも、各人のアドリブの流れと係り受けが何とも当意即妙で、「うん・・・うん・・・」と頷きながら聴いてしまいます。これがジャズなんですよね。
    2. The Comeback/ Dexter Gordon (Jazz Row JR653)
      この方の場合は、「Comeback」ったっても、悪癖の関係で米国に戻ると不自由だったせいもあったのでしょうか、殆ど欧州に移住した感がありました。だから、米国に戻ったからなのか、欧州にまた戻ってきたからなのか・・・と迷います。クレジットを見ると後者だったようで、正に十有余年に及ぶ欧州滞在を切り上げて帰米した直後の録音でした。「まぁ、何は兎もあれ」と顔を出せる面子を適当に集めたジャム・セッションだというのが、この盤の12頁に及ぶ解説の書き振りです。しかし何か聴き覚えがあるので調べたら、実はドン・シュリッテン制作とされてXANADU盤として出ている「True Blue」と「Silver Blue」の2日目分の録音を一枚のCDにまとめたものらしい。このCDの惹句には、「世界初のCD化」と麗々しく表記されているけど、ザナドゥー盤ってCD化が無いレーベルなんだったっけ、とまた疑問が湧いて・・・そのままになっている次第(^^;
    3. Coleman Hawkins and Tommy Flanagan Quartet at the London House 1963 GAMBIT 69321)
      例のフラナガンの直弟子である我が寺井さんが、「このピアノはRoland Hannaだ」と喝破されたこともあるが、普通のディスコグラフィーにはトミフラ盤とされている盤です。どっちも柔らかいタッチで弾くことが多いから、当然の混乱なのでしょう。この時期のレギュラー・カルテットは、このCDのクレジットの通りで、この二人とMajor Holley(b)、Eddie Locke(ds)でした。しかもこのクラブに何度も出ていますから、さすがの権威あるAMGサイトも原盤表記を尊重しています。閑話休題・・・・・何ともくつろげる演奏が並んでいて、しかも定番の「Body and Soul」を1959年のPlayboy Clubでのギグからボーナスで持って来ている所なんかは、原盤と思って間違いない英国Spotlite盤をなぞっています。音は放送音源で悪くなく、聴く限りでは元の音にイギリスでMCを付加した感じでもありますが、実際はどうなんでしょうか。
    4. Patrolman/ Lem Winchester (Fresh Sound FSR-CD 731)
      警官の出であるこの人が、Ramsey Lewisトリオと組んで、出自をもじった標題を付けて出たアーゴ盤に、「ニューポート・ジャズ祭の新人」と題する別盤からのB面を組み合わせたもの。Jordi Pujol主催のFresh Soundレーベルからの復刻の常で、版元に仁義が切ってあるらしく、ジャケットその他も原盤に忠実な復刻になっている。演奏は、50年代末らしい熱気と流麗な流れに充ちたもので、やっぱこの時代は良かったんですね。
    5. Inverted Image, My Romance/ Chris Anderson (Fresh Sound FSR-CD 688)
      上記と同好の復刻盤で、「Inverted Image」と、「My Romance」と2枚分をまとめている。ドラムスが、Philli Joe、Walter Perkins、Art Taylorと60年代初頭時には元気一杯だった人が入り乱れてサポートしていて興味深い。ハンコックが師として師事して、「エヴァンスには無いハーモニーの世界を教えてくれたので、今の僕がある。」と喧伝して一部で知られていた偉人の一人。親しみやすいけど、なんだか奥が深そうなピアノが聴けます。

    「Diskunion池袋店」
    1. Illumination + Dear John C/ Elvin Jones (Impulse 5334698)
      イヤぁ、懐かしい盤で、それがセットになっているので思わず保護。中でも、超短いながらも、Nina Simoneが世に紹介した名曲「Feeling Good」を、Charlie MarianoとHank Jonesが綺麗に聴かせているのが印象に残ります。
    2. Complete Birdland Broadcasts, New York September 1952/ Coleman Hawkins + Horace Silver (Solid SJR 36630)
      ホーク叔父さんの盤も我が聴き部屋の棚には、20枚近く並んでいますが、今回手にした盤は付き合っているのが、Horace Silve、Curly Russell、Art Blakeyという後に歴史的な録音を残すトリオですので、思わず保護。このトリオが結成間もない1952年の、しかもアノBirdlandでのライブ・ギグの録音で、言わばハウス・トリオ感覚で聴けるとなれば食指が動きます。音は良くないですが、現存のバードランドは建て替え後のものと聞きますから、50年代初めの名門クラブの雰囲気が判って、貴重な記録です。また貴重ということで言えば、Coleman HawkinsとHorace Silverとはライブでは顔合わせが何度かあるのでしょうが、録音物としてはこれが唯一のものだと注記されていました。ホークのしゃがれ気味の生声が聴けるインタビューも最後に付いていて、お好きな方には堪えられない大事な記録で、2011年になって、60年ぶりに人目を見たことになります。
    3. Complete Recordings/ Coleman Hawkins and Ray Bryant (Solar 4569873)
      この両者が共演したことがある57−59年の全録音を一堂に集めてみるという趣向のセットで、PrestigeやVerveの数枚の盤の内容をまとめたもの。この時期に新人として登場したRay Bryantに、ホーク叔父さんが目を付けて可愛がったということでしょうか。3枚組CDという便利な仕上がりで、版元に仁義が切ってあるのでしょうか、原盤のライナー・ノートが丁寧に復刻されているのもうれしい。
    4. Time is of the Essence/ Michael Brecker (Impulse UCCY-9320)
      今は亡きMichael Breckerの盤で、標題通りにドラムスに意を払っていて、Elvin Jones、Jeff Tain Watts、Bill Stewartと3人の名手を迎えて、良い演奏が続きます。
    5. Live at New Latin Quarter/ Helen Merrill (NLQ Entertainment MMV- 1001)
      この歌姫は、何度か来日していて、そのついでに日本駐在のオトコを捕まえて結婚しちゃったそうです。その人による赤坂のナイトクラブでの歌唱を記録した盤。
    6. Jazz Undulation/ Johnny Griffin and Dexter Gordon (Song Studio YZSO- 10042)
      Clarke- Boland楽団が60年代末にローマでギグをやっていた所に、Hampton Hawesがたまたま楽旅で立ち寄ったので、これ幸いとワン・ホーン・カルテット盤をでっち上げたもの。そこにDexter Gordonも居たので、例の「Blues up and down」といういつでも、どこでもやれる曲をテナー・バトルでやっています。ライブの場所は不明ですが、放送用にモノラルで録っておいたものが、後にジョーカーから出ていましたが、それを小島さんがCD化したものだという。昔よくやった面子で、普段着のジャズをやりました、、、と言う感じが良く出ていますが、「買って迄、聴くものとも思えんなぁ・・・」という気もした次第。
    7. Out of Track/ Giovanni Mirabassi (Videoarts VACM 1365)
      こういう盤を聴きたくなった時用に保護。ゆったりと弾くことが多い人が、「Impressions」を弾くとどんな感じなのかという気もあったが、やはり少しテンポを速めて一気に弾き切っていて、痛快です。国内で来日ギグをした時の手売り盤らしく、ミラバッシのサインまで入っていました。まぁ、それなりの事情があって、手放されたんでしょうねぇ。
    8. Consequence/ Jackie McLean (Blue Note TOCJ50278)
      付き合っているのが、Lee Morgan、Harold Mabern、Herbie Lewis、Billy Higginsという65年の録音で、正に「Right Now!」や「Cornbread」等が世に出た時期の作品です。カスクーナが堀り出して、一時期ジャズ喫茶で聴いた記憶があります。それが、リマスターされた上に邦貨999円という芸術的な価値を無視した法外な値付けで発売されたもの。ライナー氏に乗っかって言えば、「確かに、どうしてこの盤が10年以上も世に出なかったのか不思議でならないよなぁ・・・」とうことで、実にレベルが高い演奏です。しかし、1965年の時点で、Alfred Lionが録音こそしたものの、発売にまで踏み込めなかった気も判ります。今ではこういう演奏がジャズに確固として根を張っていますが、まだ少し尚早に過ぎると捉える時期も長くあったのです。そして、Nelson自身もまた、反省を込めて省りみれば、こういう路線を生硬に過ぎると毛嫌いしていた時期があります。

    「だるまや」
  • 店替えをされてしばらくは、「えぇっと、文芸座の横を真っ直ぐ行って・・・」と最初に地図を片手に辿った道を忠実になぞりながら行くことを続けましたが、今ではラーメン屋街を通り抜けた後でも、「まぁ、大体、こっちの方角だ・・・」と狙いを付けて適当に歩いていくとファミマが見付かります。そこの向かいのビルの暗い通路を通って、奥の階段を上がれば・・・と今回も最短距離で到着。この店は床面までの棚を使っているので、気になる場所では床にヘタり込んで物色。結局、コレという盤は正しそうな値付けをしてあるので、それを回避して気になる盤をレジに持って行く。つい口から、「ウゥン・・・っと思って手を伸ばした盤は、必ず強気の値札が付いてるよなぁ・・・」と愚痴を言ったら、店員さんがニヤリとしていました。
    1. Prime Time/ John Farnsworth (Eighty- Eight's VRCL- 18313)
      NYCで活躍中の中堅による元気な盤かと思いきや、Curtis FullerやBenny Golsonといった超ヴェテランを所々でフィーチュアしているから、少し減点か。でも冒頭の「Sweet Poppa」というワルツ曲、Chris Andersonに捧げてHarold Mabern書いたと言うが、中々キャッチィな曲な上に、アドリブも悪くない。
    2. Bryan Lynch Meets Bill Charlap (Sharp Nine CD- 1027)
      上の盤と同じく、ドラムスにJohn Farnsworthが入っていて、このSharp Nineレーベルも上の88モノと狙う方向が似ている。やはり中堅ジャズメンが集まって、日頃やっているスタイルで和んでいる、ワン・ホーン盤です。選曲が、余りわざとらしくなく、これ位がちょうど良い湯加減です。
    3. Tomorrow Is the Date?/ Monk's Trio (What's New WNCJ- 2129)
      「小林陽一という名前を出さずに、モンクという名前を使っておいて、御大モンクの曲を一つもやらないってのは無いよなぁ・・・」と思いつつ聴き進んで行くと、豈図らんや、コレがまた何とも趣味が良いピアノ・トリオで、予測を二度裏切ってくれた良盤です。
    4. Minor Blues/ Kenny Barron (Venus VHCD- 78154)
      「この人のリーダー盤も、大分溜まったなぁ・・・」と数えてみたら30枚もあり、他にサイドメン盤も結構あるから、50枚近くを持っている計算になります。先年、The Allen Roomから夕闇迫るCentral Parkやマンハッタンの街並みを眺めつつ(右掲)、彼の珠玉のようなピアノを聴くという僥倖に出会いましたが、古臭くなく、新規の試みを忘れない、しかし中庸の道を外さないヴェテランの秀作でした。

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