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他社製ボックス物の好き嫌いって言うか、まぁ、限界の話
  • Real Gone Jazz社のパブリック・ドメイン音源を使ったボックス物についてメモするために、手元にある同社のボックスを聞いていると、色々と不満な点があることにも気付きます。「そのジャズメンは、どんな演奏をしていたか。」ということが判っても、その録音の狙いや、スタジオの雰囲気などといったことは、どうにもこっちに伝わってきません。「コレは、何なのかなぁ・・・」と考えてみると、いくつか思い当たることがありました。話を判り易くするために、後日採り上げるつもりだった「Black Saint/ Soulnote完全復刻ボックス」を引き合いに出します。このシリーズは、大変興味深いので、その中身の詳細はここでは触れずに、後日メモします。
    他社製ボックスと言っても色々で・・・
  • 箱を見開きで上掲した「Black Saint/ Soulnote完全復刻ボックス」の一例は、独特の味があったピアニスト、「Don Pullen」Black Saintレーベルに1976から85年までの約10年間に録音した7枚のアルバムを、英国の「CAM London」社が最近になって復刻したものです。ですから、Real Gone Jazzモノと同じく、原録音をした会社じゃない会社が出したものです。しかし、この箱モノでは、下に例示したように原ジャケットを紙ジャケとして美麗に復刻してあります。もう少し仔細に眺めてみると、以下のような違いと類似点があり、Nelsonとしては「Black Saint/ Soulnote完全復刻ボックス」の方に軍配を上げたくなります。
    公式の復刻
  • どうやら、英国のCAM社はイタリアのBlack SaintとSoulnoteの両社から、原盤の復刻権を公式に取得していると見受けられます。箱の中に収められた7枚の紙ジャケの内の一枚を右掲しました。(余計なことながら、この人独自の拳握り弾きが接写してあります。) 両者の公式ロゴが入っている元ジャケの両面が、正確に復刻してあることでも、それが推察できます。この二つのレーベルの、どちらかと言うとフリー・ジャズ気味な盤をまとめているこのシリーズは、狙いがハッキリしていて、原レーベルの特徴に敬意を払っていることが如実に伝わってきます。
  • 無論、紙ジャケ自体にライナー解説が縮小掲示されているだけであるとか、7枚全体を俯瞰した「Black Saint時代のDon Pullen」とでも題するような、書下ろし解説などはないとか、不満が無くはありません。しかしその不満を持つ場合は、原盤をシコシコと中古で一枚づつ探すという、古典的な道を模索するしかないことは明白です。入手困難なレア盤を、CD化して提供するという限りにおいては、このボックス物の狙いは存在価値があります。
  • 「Real Gone Jazz」社のモノが、1960年以前の古い音源しか扱わないのに比して、CAM社の箱モノの対象は70年代、80年代と新しく、個別の盤の雰囲気をなるべく生かして伝えるという心意気が素敵です。「Real Gone Jazz」の場合は、「兎に角詰め込むだけ詰め込んどくから・・・」という、やりっ放し感が横溢して、どちらかというと味気ないのです。
    要は取捨選択の問題か・・・
  • つまり、コレは「人生イロイロ、箱ものイロイロ」ということなのでしょう。原録音が原盤で集め難い以上は、それぞれに間尺に合わないところがあるのを自分なりに納得して、付き合うということでしょうか。原盤を探す手間を惜しめば、貰いが少ないことは致し方ありません。そこでNelsonが取る手段は、良い演奏は元LPか、せめて公式のCDで手元に置くという、昔ながらのやり方です。そういう意味では、「Black Saint/ Soulnote完全復刻ボックス」の方に味があるという気がしてなりません。
    諸外国では・・・
  • 米国のメディアが先頃、「日本では、何故かまだCDを買う人が少なくないようで、先進国の中ではその異色性が目立つ。」という記事を載せて話題になりました。事ほど左様に、世界的に見ると、音楽はDL買いで済ませる傾向がドンドン加速しているそうです。しかしNelsonもその異色な日本人の血を引いているようで、ジャケットの端が毛羽立っていたりする現物の盤ではなく、デジタル・データである音源だけをネットなどで入手することには、戸惑いがあります。無論、手持ちのCDからMP3に落として、車で聴くことはしていますが、その演奏を真面目に聴こうと言う時には、聴き部屋で元の盤を鳴らして聴きます。ライナー・ノートが無くっても、せめてジャケットを横目に見ながら聴きたいのです。そんな聴き方は、もう時代遅れなのだそうですが、Nelsonの知ったことじゃぁありません。大上段に「文化」と言う言葉を振りかざすと大げさ過ぎますが、学生時代から50年近く、途切れも無く続けてきた他愛無いとは言え、大事な趣味の世界です。これからも、好き勝手にさせて貰います。

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