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Alto Madness/ Jackie McLean vs John Jenkins
  1. 「Alto Madness」は、Jackie McLeanが、バードとの関係でいえば弟(おとうと)弟子分に当るJohn Jenkinsをゲストに迎えた、アルト・バトルを繰り広げる同名の盤「Alto Madness」、その冒頭に来る曲の題名です。曲自体は、いわゆるブルースで、しかもこの録音しかありませんから、バトル用に即席で作ったものでしょう。聴くと判りますが、テナー・バトルによく使われる「Blue up and down」と同工異曲です。まぁ、12小節のブルースは、そういうものでもあります。
  2. この演奏は、12分にも及ぶものですが、全編を通して二人がアルトを吹き続けています。Wade Legge、Doug WatkinsそしてArt Taylorからなるリズム・セクションは、完全に伴奏に回っています。無論、演奏の節目に応じて、二人を鼓舞するコンピング、フィルイン等を挿入しては居ますが、アドリブは取っていません。まさに、Jackie McLeanとJohn Jenkinsのバトルを聴く曲なのです。
  3. そのアドリブですが、12小節を1コーラスにして、3コーラスづつ、2コーラスづつ等と、延々とバトルを繰り広げます。ブルースをベースにしたアドリブなんて、毎日やっていることですから、練達の技であり、二人のフレーズに淀みがある筈がありません。そういうありふれたブルースのアドリブでありながら、この曲のテーマで特徴的なパターンと音はしっかりと嵌め込んでいますから、聴きごたえがあります。また直前の相方のフレーズを即興で係り受けしているので、流れはスムーズです。しかも、そこはそれ、バトルですから、矢張り「オレの方が光って聴こえなきゃァ」と頑張っています。まるで「寄せては返す波」のように、それぞれに秘術の限りを尽くして盛り上げますから、正に興奮の坩堝に叩き込まれてしまいます。二人の違いですが、モノラルな上に、バード直系の兄弟弟子で、フレーズの癖には共通点がありますから、なかなか見分け難いというのが正直な所です。二人の音色に若干の違いがあり、またその前後のJackie McLeanの録音で聴けるバード系のフレーズで、まぁ、何とか識別は可能です。コーラス単位のバトルが、その後は4バース・チェンジに迄細分化されて行き、そういう興奮の中で、白熱のバトルが終わります。
  4. この盤は、右記したように、買った時の記憶が鮮明な思い出盤です。今はCDも持っていますが、その昔、なけなしの金をはたいて買ったものは、ちょっとやそっとでは、忘却するものではありませぬ。
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