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高能率スピーカーの仕様

種別   型番 口径 最低共鳴周波数 等価質量 磁束密度 BL ストローク 音圧レベル 効率 備考
      cm Hz g Tesla T*m mm dB/W*m %  
ウーファー                      
  JBL 123A 30 25 85 1 8.9 7.9 89 0.7 4311用
  JBL LE14A 35 28 140 1.2 21.5 5 91 0.95 Lancer101用
  JBL 130A 38 37 70 1.1 22.5 2 101 7.7 2220A相当
  JBL 136A 38 16 151 1.2 21 5 94 1.4 L300,4343用
  JBL 2226H 38 40 98 1 19 7.6 97 3.3 最新型
  JBL LE15A 38 20 97 0.9 22 4 97 2.6 オリンパス用
  TAD 1601b 40 28 117 1.24     97 4  
  ALTEC 416-8B 40 25       3.8   2.7 515普及版
  ALTEC 515B 40 25       4.6 105 4.6 名器
フルレンジ                      
  JBL LE8T 20 45 16 0.9 6 4.6 89 0.5 名器
  JBL D123 30 45 45 1 12.4 2.5 98 2.5  
  JBL D130 38 40 60 1.2 18 0.76 103 6.7 創業時の傑作
  ALTEC 604E 40 27       0.15 102 3.9 620モニター


  1. 高能率スピーカーの代表といえる「130A」では、効率が8パーセントに迫りますが、重低音が出るとされている「4343」、その後の「4344」のウーファーである「136A」、「2235」は1パーセント強でしかありません。「136A」では、「130A」に比して最低共振周波数が半分になった代りに、効率にして5倍以上も低いということになっています。 数値を見れば分るとおり、磁気回路の強さはほぼ同等で、等価質量、これは大雑把にはコーン紙の重さと言って良いのですが、それは倍にしてあります。これは、コーン紙の根元のところに数十グラムの金属リングを接着したためですが、これにより重さを稼いで、より低い音を出そうとしています。しかし、振動系を無理に重くして重低音を出そうとしているので、スパッとした低音は出なくなりました。加えて、この時期からエッジがフィックスと呼ばれる折り紙あるいはゴム製から、フリーと呼ばれるウレタンなどに変わって、この制動性の低下に拍車がかかっています。しかし、この効率1パーセントという数値でも、普通の設計のウーファーよりは、数倍高い効率なのですが、、、
  2. 表で分るように、効率が高いのは「130A」で、「136A」はずっと効率が低くなっています。中間にあるのが、「LE15A」、「2226H」や、TADの「1601b」です。ALTECの「515」は、それよりは少し効率が高い部類に入ります。
  3. ALTECの「416」と「515」は、基本設計が殆ど同じで、「416」の方が磁気回路が弱いと言われています。その分、「416」は大き目の箱に入れて鳴らすと、フワっとした良い低音が出ます。「515」は、元来は、「A7」、「A5」等のようなホーンロード用で、バスレフで使うと、制動が利き過ぎて、低音は出し難いようです。
  4. 特異なのは「LE14A」で、小さな箱で柔らか目の低音がよく出る。これには、金属リングなどは付いていないのですが、コーン紙に粘土を溶かしたような、ランサー・プラスと称する液を塗って重さを稼いでいるようです。12インチの「123A」でも、この手法が使われていました。
  5. フルレンジでは、JBL草創期に話題となった「1ミリワットでも動作する」という「D130」が、抜群に効率が高くなっています。さすがの「604E」も、これには敵わなかったようで、これでJBLはブランドを確立したようです。後になってでた名器「LE8T」は、ブックシェルフ用で、効率は低いのですが、大きくないキャビネットでも、低音が結構出るように作ってあります。38センチ口径と違って、20センチですから、コーン紙が大き過ぎず、程々の大きさなので、分割振動は中高域迄出ないので、フルレンジとして人気を馳せました。コーン紙が大きいという欠点を、「D130」では中心のアルミドームで補おうとしていますが、十分ではありません。「604E」では、もっと積極的に、中高音用のホーンをコーン紙の中心に埋め込んだ同軸設計となっています。ホーンの元気が良過ぎて、若干中音が張り出し過ぎというきらいはありますが、同軸のためにまとまりが良いと人気が出ました。今でも、「604-8KS」とかいう現行品があり、それを箱に入れた「マイルストーン」も人気があります。
  6. 口径: フレームの直径で、結構大雑把な数値。厳密には、コーン紙とフレームを繋ぐエッジの中間位置の直径を、ミリ、センチ、インチ等で示す数値です。フレーム径でいう方が、当然大きく表示されます。
  7. 最低共鳴周波数: ユニット単体が、低域で、最初にインピーダンスがピークを示す(最低の)周波数。これ以下の周波数は、打消し作用が効いて、再生し難いという目安となっています。箱に入れるとこの数値はまた変化しますが、通常は単体で測った場合の数値を示します。
  8. 等価質量: イメージ的には、コーン紙の重さと考えて良いので、口径が大きければ、またコーン紙が分厚ければ、更には素材が重ければ、それにつれて重くなります。実際には、ヴォイスコイルの質量やエッジの硬さによる影響も算入された数値です。
  9. 磁束密度: コーン紙は、それと一体となったヴォイスコイルが磁気回路のギャップの中で、パワーアンプの出力に応じて動かされるのに応じて動きます。その応答は、ギャップを横切る磁束が強ければ強いほど、大きな動きとなります。その磁束の密集の度合いを示す数値。
  10. BL: コーン紙の動きは、上記のように磁束強度に左右されますが、このBLは、その密度と磁束の幅との積で、駆動力の大きさを示すことになります。
  11. ストローク: コーン紙は入力に応じて前後に動きますが、支持を巧く行わないと、ねじれたり、変形したりするので、ダンパーやエッジを設けて、コーン紙を支えています。そのように支えられ、逆にいうと「制約された」中で、コーン紙が動ける前後の移動幅を示します。昔は、エッジが硬く、ストロークも小さかったのですが、今は結構ゆるゆるのエッジが多く、ストロークも大きく取れます。エッジの硬さは、音の立ち下がりを左右するので、硬ければコーン紙は動き難くなりますが、振動がすぐに減衰するのでスパッとした音が出ます。ですから、入力がなくなるとスッと止ります。今の柔らかいエッジは、コーン紙を余り制御しておらず、ダンピングが悪くなっています。更に、今のエッジの大半を占めるウレタン素材は、数年で酸化によりボロボロに劣化します。従って、エッジの張り替えが必要となり、張り替えの具合で特性が変ってしまうという困ったことも起きます。アンティークに多い、固いエッジのものは、基本的にはプロ用に作られており、2,30年経ったものでも、しっかりしています。ですから、普通の音楽ファンが音楽を聴く時間程度ならば、殆ど永久的に使えると言っても過言ではなく、今でも市場価値がある理由の一つです。
  12. 音圧レベル: 効率を示す指標で、1ワットを入力した時に、1米離れた所に届く音の大きさを示します。コーン型で80-100dBくらい、ホーン型で90-120くらい、ドームで70-90くらいの値を示します。一見、ドームの数値が低く、ホーンの数値が高く思えますが、それは誤解です。ドームは広範囲に音を発散して指向性が広いのに対し、ホーンは狭い範囲に指向性が鋭い音を出すので、数値に差が出ているだけです。指向性が広いと部屋や壁の影響を受け易いのですが、逆に聴取位置に自由度があります。90デシベル位いで、エネルギー効率が1パーセント前後となる計算のようです。
  13. 効率: 入力される電力に対して出力される音のエネルギーを、その百分比で示した値。
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