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「My Handicraft、My Soundを作ろう」

  • 「My Handicraft、My Soundを作ろう」は、Stereo Sound社が刊行したムックです。同社は、「サウンドボーイ」(今は「Hi-Vi」と改題)なる雑誌を刊行していましたが、その記事から自作がらみの記事を再編集したものです。1996年の刊行で、2,000円でした。
    面白かったのは、、、
  • 「My Handicraft、My Soundを作ろう」先ずは、岩崎千明さんの「CWホーン」です。CWホーンとは「Constant Width(幅一定)なホーン」であり、バックロード・ホーンと言う方が通りが良いでしょう。岩崎さんも、景気よく鳴る音がお好きですから、いかにも嬉しそうに工作する感じが出ています。
  • 井上卓也さんのタンノイ用コーネッタと呼ばれる工作は、10インチの同軸ユニットを、コーナー置きのショート・ホーンの箱に取り付けるものです。加工が複雑で家具屋さんの手が必要であり、とても素人ではできない精巧なものです。形が美麗なこともあって、結構話題になったものです。時期を同じくして、どこかがこれの製作を請け負っていた記憶があります。
  • 15インチ及びLE8T用の平面バッフルの記事も興味深く読みました。平面バッフルは一度作ったことがありますが、爽快この上ない、スパッとした音切れの良さが魅力です。
  • 特異なユニットながら、良い音がするらしい小型金属コーンのジョーダン・ワッツのユニットを、片側4本づつ使用するシステムも、痛快そうです。10センチのユニットがアルミ・ダイキャストの枠に組み込まれたものを、箱の左右に2コづつ付けて、開閉自在の板で反射させて、前方で聴くというのが基本的な構造です。そして音場感を得るために、箱上部に6個ものユニットを付けて間接音を出すというから、スゴイとしか言いようが無い。6個の内の片側3個分は、ネットワーク素子でそれぞれ再生帯域が分割されており、その3個で左側なり、右側の間接音を得る仕組みだそうです。大部分の直接音を聞くユニットが一個で、間接音用が3コという、はっきり言って、本末転倒な使い方で、遊びの極致かと思ったら、これで正統的な音が出るんだそうですから、ビックリです。
  • アルテック755Eをメーカー指定の後面開放箱に入れるのも、楽しそうです。後面開放は、箱のサイズで最低域の再生限界が制限されますが、箱にこもらないだけに、音は素直です。ここでは、更に名器3000Hツイターを追加していました。
  • そして真打は、伊藤喜多男大先生のアンプ製作指導です。ウェスタン・アンプの奥義を会得して、製造メーカー名義での修理を任されたほどの方で、半田、配線の止め方、治具の使用法等々、「なるほど、やはり本家本元は、しっかりしたアンプを作るんだ」と唸りました。また、掲載の写真にみる伊藤さんの風貌が、明治・大正期の書生といって悪ければ、紅顔の青年の面影があり、ベランメェといわれた口調が記事から飛んで来そうな快感がありました。
    構成
  • ということで、この本の主たる内容は、以下のとおりです。
    • CWホーン・スピーカーを作る(岩崎千明)
    • 魅力のデザイン、JBLミニゴンを作る(伊藤遼介)
    • タンノイ用コーナー・エンクロージャーを作る(井上卓也、松波濤)
    • EVホーン・システムを作る (神戸明)
    • 15インチ用プレーンバッフルを作る (神戸明、長島達夫、山中敬三)
    • JBL D130 + LE85/ HL91をジェンセンのバス・ウルトラフレックス型エンクロージャーで鳴らす(細谷信二
    • JBL LE8Tをプレーンバッフルで鳴らす(山下俊介)
    • ジョーダン・ワッツのステレオラDSP100に挑戦(小林貢)
    • アルテック755Eを608Aエンクロージャーで鳴らす(小林貢)
    • 伊藤流アンプ指南(伊藤喜多男)
    • サウンドボーイ選集図面集
    まぁ、何とも好き放題をやる企画ばかりで、読んでいても楽しくなります。

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