「Designing, Building and Testing Your Own Speaker System, with Projects」
- 「Designing, Building、、、」は、スピーカー自作者のために書かれた平易な教科書です。数年前に、Wahington D.C.に仕事があって滞在した時の週末に、お決まりのGeorgetown散策をして、「おぉ、そや、そや」と本屋に入って、ジャズとオーディオの本を物色したときに買い求めたものです。別にこの本でなきゃならないというわけではなく、類似の本が一杯ありましたが、比較的克明な記述が気に入りました。アメリカは、DIYの国ですから、この手の本は一杯売っています。ネットでも、この手のサイトがゴマンとあります。大手のMacGraw-Hill社から、1997年に20ドル表示で刊行されています。御存知のように、米国には再販制度がないので、場合によっては10ドルくらいで買える筈です。空港の本屋でもオーディオの本はありますが、普通は雑誌またはムックが並んでいる位です。専門性の強い書物は、やはり、街中の本屋にしかありません。
構成
- この本の主たる内容は、以下のとおりです。。
- How a Speaker Works
- Kinds of Speaker Enclosure
- Speaker Box Construction
- Closed Box Speaker Systems
- Ported Box Speaker Systems
- Crossover Networks
- Fun with a Computer Program
- How to Choose and Use Your Speakers
- Testing Your Speakers
- Projects
- Useful Formulas
- Wire Data for Homemade Coils
- Computer Programs
- Mail Order Houses
- 自作スピーカ本というと、大体がこういう構成になってしまいます。真面目本なので、数式ドッチャリですが、書いてあることは我が国の正統的な教科書や、長岡氏の言っていることと変わりません。彼我でスピーカーの動作に変わりは無いので、当たり前のことです。ただ、この本は箱ものの一般的な教科書として書かれており、長岡さんの著書のように特段の高能率志向ではありませんし、またバックロード・ホーンや平面バッフルの記述はありません。4訂版ということで、出来が古いので、Basicによる試験・解析プログラムがついていますが、今は、こういうのは、もうはやらない筈です。老婆心ながら、「Projects」という英語は、日本の学校では習わない用法です。「製作事例」という位のもので、ネットでもよく見かける用語です。
長岡さんはスゴイ
- こういう本を読むと、長岡さんの本が理論の詳細を適当にすっ飛ばしているのが正解だとわかります。長岡さんが省略する部分を、この本では丹念に述べ連ねていますが、そういうことは、好きな人が突っ込めばいい話でしかないことが、直ぐに判ります。「作って、聴いて、楽しむ」だけであれば、そんな詳細は頭がこんがらがるだけだ、という長岡戦略は、正しい省略という意味で、成功しているといえます。その絶妙のバランスは、確かに大したものであり、一定数の熱烈なファンが長岡本を買い続けた理由がよくわかります。
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