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「あの時代、オーディオへの憧れを今再び」(憧れ探求隊)

  • 「あの時代、オーディオへの憧れを今再び」は、・(えい)出版が今年の1月に刊行した文庫本で、650円という価格です。この出版社さんは、上記サイトを覗いた感じでは、バイク、カメラ、ダッチ・オーヴン等々と、大人の遊びを採り上げておられるようです。昔、父親が大事に使っていたオーディオを、「自分も大人になったらあんなのを買って、、、」と羨望の目で見ていた少年が、「さァ、大人になっちゃったけど、、、」なんてこともあるのでしょう。
    先ずは、腰巻から、、、
  • 「今なら、手が届きます ! あの名機」、「あの時代に聴いた、あの音をあなたの部屋に。憧れだけでは終わらせないための一冊 ! 幸せな気分に浸れること確実です。」って、ホントかね。
    これは珍しい
  • Nelsonも結構昔からオーディオ関係の本は買っていますが、この本は「中古オーディオ」が本題という珍しい企画で、「売れるのかなぁ」と心配したくなる本です。オーディオ関係の本、雑誌で、「中古にも目を配って、、、」というおざなりな表現はよく見かけますが、その市場をこれだけ調査して一冊の本に仕上げたのは、初めて見ました。本屋でタイトルを見つけて手に取り、ニヤッとして、直ぐにレジに持って行っちゃいました。
    主たる内容
  • 「あの時代、オーディオへの憧れを今再び」この本の主たる内容は、以下のとおりです。
    • 巻頭エッセィ:60年代から、今まで走り続けて、歌いつづけて(上田正樹)
    • 今、あこがれの4343を鳴らす
    • 今も輝く70−80年代 憧れのコンポーネントたち:アンプ編
    • 今も輝く70−80年代 憧れのコンポーネントたち:スピーカー編
    • いい音楽とオーディオのステキな関係(松本裕 パラダイス山元)
    • (中古)オーディオ再始動のための基礎知識
    • 中古オーディオで賢いオーディオライフを
    • いい音楽とオーディオのステキな関係(羽仁知治)
    • 今も輝く70−80年代 憧れのコンポーネントたち:ターンターブル&CDプレーヤー編
    • レコード、カートリッジ、トーンアームの基礎知識
    • 音楽別 システムの組み合わせ方
    • もう一度聴きたい70−80年代・名盤30選(ロック編 歌謡曲編 ジャズ編)
    • 厳選 いい音が聴ける喫茶店

    面白かったのは、、、
  • 冒頭は「あこがれの4343」に関する記事です。今更、そう言われても困りますが、これを中古で最近入れたスタジオがあるらしく、そこに5人の人を集めて座談しています。「アナクロじゃないの」と言われても仕方ない上に、鳴らすアンプが往年の名機「Kenwwod L02A」というから、かなり濃い座談です。次の「今も輝く70−80年代 憧れのコンポーネントたち」という記事は、当時一世を風靡した名機を解説した上に、現在の中古価格相場を付記してあるのが、何ともミソです。その次の「いい音楽とオーディオのステキな関係」は、ミュージシャン等にオーディオ経歴を語ってもらうという趣向です。
    ちょっと片手落ちか、、
  • この本でも書かれていますが、新品で例えば百万円した機器が、中古では半値から3分の一の値段で手に入ります。欲しかったけど色んな事情で買えず、「今の時点でも、やはり魅力を感じるなぁ」というような思い込み状態にある名機は、美品の中古なら思い切って手を出して、その片思い状況を一旦は、リセットして置いたほうが、後々のためかも知れません。新品は数か月も使うと、下取り価格が3分の一位に落ちてしまい、中古品になって半値以下で流通します。名機との評価があった機器を中古で入手した場合、買ってから数年後に手放しても、値下がりは十万円位で済むというメリットがあります。さらにうまく行けば、買った時の中古価格そのままで売れる場合だってあります。名機は、中古になってしまうと、それ以降の値下がりが少ないのです。状態の良い名機の中古が見付かれば、使ってみる価値は大いにあります。しかし、残念なことに、本書では中古のリスクにあまり触れていません。中古を聴こうという意気込みは結構ですが、事情が判らない人が手を出す時の注意書きも必要かと思います。
    老婆心ながら、、、
  • 例えば、次のことくらいが注意すべき点です。
    • 出来れば、鳴らしてみて、音を確認すべきです。その上で、中古でも数か月の保証を付けるくらいの店で買うべきです。昔の値段が2百万円で、今百万円前後、あるいは百万で今50万という感じの高い買い物ですから、後悔しないように注意が肝要です。運悪く異常がある時は、兎に角直ぐにクレームを付けることが大事です。
    • 雑誌の交換欄、ネット・オークション等で試聴が出来ない場合は、リスクがあると覚悟すべきです。交換欄で近在の人の出品を見つけて、手紙のやり取りの後、相手方を訪ねて使い方、クセなどを聞いて、ついでに別の品まで安く分けて貰ったことがありますが、こういう場合ばかりではありませんから、ミズテンはどうなんでしょうか。Nelsonには、その勇気はありません。
    • 名機が欲しくて、しかも外観が気になる人は、妥協せずに気長に探すこと。外観を気にする人は、キズ物では数日で嫌気がさしてしまいます。外観を気にしなければ、ゴールドウィングの羽一枚欠けとか、オリンパスの格子一部傷みとかは、破格の値段であります。相場がありますから、異常に安いのはかならず難がある筈です
    • アンプでは、電解コンデンサーの容量切れ、ヴォリュームのガリ付き、スウィッチ類のガタと接触不良などのチェックが必要です。マランツ7,8等は、中古屋は原状を大事にするので部品交換は敢えてしませんから、よく聴くのが吉です。信用のある店で在庫が多く、おかしければ代品交換が可能な店で買うべきでしょう。
    • スピーカー類は、グンと古ければそうでもありませんが、ここ20年以内のウレタン・エッジ物は、エッジのヘタリ、破れ等には注意が必要です。自分でエッジ交換をやると数万円かかりますし、当然ながら、修理中は音が聞けません。ネットワークの劣化で、音を出すとガサ付くのもあります
    • アナログ・プレーヤー関係は、プロ用でない限り、相当にヘタっている筈ですから、よくチェックするべきです。回転ものは、最初は処女の如く、しかし十枚位続けてかけて初めて、モーターがゴロゴロと唸りだすなんてのがありますから、けっこうチェックが大変です。聞くところによれば、ゴム・ベルトも段々品薄になりかけているようです。

    中古の勧め
  • とはいえ、中古には中古の良さがありますから、気長に探してみて、信用できる店で良い品が見付かれば、是非買ってみて楽しむことをお勧めします。

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