「ヴィンテージ・スピーカー : Vol.1、アメリカ編」
- 「ヴィンテージ・スピーカー : Vol.1、アメリカ編」は、Stereo Sound社が刊行したムックです。同社の看板雑誌「Stereo Sound」に1966年から82年までに掲載されたヴィンテージ・スピーカー関係記事のうち、アメリカ製品に関連するものだけを再編集したものです。1995年6月発行で、2,400円となっています。もう10年近く前のムックなので、結構バックナンバーの在庫がある同社でも、これは品切れなんでしょう。冒頭の記事では、総髪着流しの五味大先生の、かのリスニングルーム風景と共に、同氏の主張が展開されています。
構成
この本の構成は、以下のとおりであり、まぁ、古本屋で見つけたらぜひ買われるべきものでしょう。
- オーディオと人生(五味康祐、同誌創刊号に掲載された有名なエッセィで、自己のオーディオへの傾倒を告白する形で、じつは巧妙な扇動記事となっています)
- 音の音楽的な意味合い(岡、黒田、瀬川、岩崎、油井各氏による座談記録で、油井さんが居るのが面白いし、岩崎さんが元気で嬉しい)
- アメリカン・サウンドの系譜(岡)
- American Sound Graffiti(井上、山中)
- アルテック(製品紹介と山中氏の熱弁、そして「昔話」と題した池田圭、伊藤喜多男、住吉舛一各氏による座談記録)
- JBL(岩崎、長島、山中各氏によるハーツフィールド鼎談、製品紹介、そして圧巻は瀬川氏による名稿「JBL4343研究」、さらに岩崎氏のシステム考)
- 後はElectro-Voice、Jensen、Klipsch、Bozak、Hartley、McIntosh、Empire、WestlakeそしてUrei等に関する解説
写真も
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同誌は、世界最高レベルのオーディオ誌として有名ですが、原田さんという編集者の腕が良いのでしょう。そして忘れてならないのが、安斎さんという写真家の写真です。この方の工業写真というか、広告写真というか、その製品の本質に迫ると共に、画像としても美しい写真は、業界でも、さらには国際的にも高く評価されているものです。ということで、この本は、ジャズ・オーディオに関心がある向きには、座右の書です。
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