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マルチ・アンプにおける中・高音ホーンの残留雑音の解消
  • マルチ・アンプのシステムにおける中・高音ホーンの残留雑音の解消には、こんな手もありますョ、、、というお話です。
    中・高音ホーンの残留雑音
  • 中・高音にホーンを使っておられる方が対処すべき点の一つが、残留雑音です。ネットワークを使ったシステムと違い、マルチ・アンプではパワー・アンプ直結の澄んだ音が楽しめる見返りとして、残留雑音の問題が生じるのです。ホーン・ドライバーは、大体が超が付くほどの高能率で、100dB前後から、高ければ120dBなんてのまでありますから、市販スピーカーの数十倍の効率があります。マルチ・アンプ・システムでは、各チャンネルの音量調整は、帯域分割が主目的のチャンネル・デバイダーで、ついでにやるのが一般的です。そしてその出力を受けたパワー・アンプが、ホーン・ドライバーをネットワークなどを介さずに、直接に駆動します。残留雑音は、デバイダーとパワー・アンプから来るものです。真空管アンプでは結構気になりますし、石のアンプでも、特に何もしなければ、やはり残留雑音が聴こえます。ネットワーク付きのシステムの場合は、そこで10から20dB程度(音量にして数十分の一)減衰させるので、残留雑音は絞られて聞こえ難くなっているのです。
    気にすれば、気になる
  • Nelsonは、適当な性格なんで実は、残留雑音を余り気にしませんが、クラシックなどを聴かれる方は特に「ユニットの傍に行くと、シーーーッという音がしてるんですョ。」等と述懐されています。「そんなもん、聴取位置では聴こえへんやろが」というのが正解なんでしょうが、気にすれば気になるようです。参考になるかどうか判りませんが、下記のような手は如何でしょうか。
    こんな手で
  • Nelsonの場合は、パワー・アンプとユニットの間に、トランスを突っ込んでいます。このトランスを10dBくらいの減衰位置にしておいて、全体のレベル合わせをしてあります。これをやると、出力が自動的にトランスの減衰設定だけ落ちてくれますから、残留雑音は皆無となっています。結構な話ですが、ここでもトランスの音色を問題にする方も居るでしょう。Nelsonは、概してトランス経由の音が嫌いではないんで、問題無しです。実際に使っているのは、FostexのR-100Tという100W容量のトランス式アッテネーターです。これをかました後に、JBL376と2405に出力を並列に送っています。2405は、コンデンサー切りです。
    固定抵抗でも
  • こういう減衰は、固定抵抗の組み合わせでも出来ます。例の著名なディールの無誘導巻き線抵抗、それも数十W級のものを2本使って、L型パッドに組み合わせれば、望みの量の減衰が可能です。もっと経済的な応用として、パワー・アンプレベルの抵抗は高価なので、直列に入って信号が通過する一本だけにして、並列に入れる抵抗は巻き線抵抗アッテネーターにする手があります。金田式とも言われるこの方式は、インピーダンス計算が一寸違いますが、充分に使えます。トランス式アッテネーターの場合は、一旦設定した後でも、好きなレベルへの調整が簡単です。固定抵抗を使う場合は、試行錯誤した上での半田付けという手間が必要です。金田式ならその手間を逃げられますが、信号が通らないとは言え、並列に入るヴォリュームの音色が乗るそうです。
    別の狙いも
  • Nelsonのこのやり方には、もう一つの狙いがあります。一般にホーン・ドライバーは低音ユニットよりも数dBは能率が高いものです。Nelsonの場合でも、Altec 515が100dB強で、376は118dBとされています。マルチ・アンプの王道とされる、各チャンネルの同一パワー・アンプ駆動を試みる場合、ホーン・ドライバーの方のアンプは、ウーファーよりも10dB近く小さなレベルの入力を受け、それを増幅しています。100dBのウーファーでも、普通のパワー・アンプとしては小入力駆動ですから、ドラーバーの方のアンプは微小入力駆動になります。小さなレベルでパワー・アンプを駆動すること自体は、突然のフル音量にも飽和したりせず、ダイナミック・レンジが大きく取れる点で良いのです。しかし、A級アンプならともかく、普通のアンプなら、小入力駆動時に有りがちと言われるスィッチング歪等が気にならないでもありません。上記のNelsonのやり方では、パワーアンプはトランスで落ちる分を見込んで大き目の出力で駆動されますので、そういう歪領域よりは上の領域を使うことになります。細かいことはあるとしても、取敢えずは直結よりは高い出力領域での駆動であることには間違いが無く、気休めとはいえ良い方向の使い方になっていると思っています。


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