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カートリッジからの直(じか)配線(^^;
  • 盤から一番最初に信号を拾うのが、カートリッジですから、この近辺はいくら大事にしても過剰ということはありません。
    機械接点
  • 20年程前ですか、接点におけるダイオード雑音の害がやかましく言われた時代があリました。はんだ等の溶融接合でない機械接点では、接触面はピッタリと密着しておらず、微細に見るとデコボコで、しっかりと接触しているところもありますが、離れていたり、かすかに接触しているだけのところも一杯あります。この「かすかな接触個所」が問題で、物理の原理によってどうしてもダイオード現象が生じてしまい、逆向きに電流が流れたりして、接点が不安定だというのです。これは、現時点でも、正しい解釈で間違ってはいません。トランジスター、真空管、スピーカー等では動作電圧が数十ヴォルトもありますが、MCカートリッジから出る電圧は0.2ミリヴォルトなんて微細なものですから、「なんかの拍子に途切れたりしないか。」と気になるのが当たり前です。そのためもあって、Nelsonは、カートリッジの出力をプリアンプと直につなげていました。
    普通は、、、
  • 通常のアナログ系では、カートリッジの出力端子に数センチのシェル・リードという4本の接続線をつなげ、そのリードをシェルの端子につなげます。この端子の他端は、トーン・アームの受け接点に押し付けられて導通しており、その接点はアーム躯体の中を通る線につながっています。この線のもう一つの端はアームの根元にあり、躯体のアースも含めた5接点のオス端子に、出力が出ています。そこにアーム・コードと呼ばれるケーブルの、同じく5接点のメス端子をつなげて、装置の外に引き出します。このアーム・ケーブルの反対側にはRCAのプラグがあり、昇圧トランス、フォノ・イコライザー、あるいはプリにつなげます。またアナログ系には他の機器ではあまり重要視されていないアース・コードが必ず付属しています。たまに雑音が出る時に、アーム、ターンテーブル等のアースを見直すと、ピタリと雑音が止まるものですから、このような微小信号を取り扱う機器では、アースが非常に大事なんだと思い知らされます。
    カートリッジからの直(じか)配線
  • choiceこの間の接点の数は数え切れないとは言いませんが、かなりの数になりますし、その殆どが機械接点です。単に接触しているだけですから、「そこがダイオード雑音にさらされて、音が劣化したり、雑音が入るンだ。」と言われれば、何らかの対策をしたくなった方が多くいらっしゃったのです。Nelsonの場合のように、プリにデンオンの2000ZRを使っていると、MCカートリッジを直接受ける端子があります。ここにカートリッジの出力を直につなげることができれば、一番良さそうです。有難いことに、こういう直(じか)配線用に、モガミという専門メーカーから「直接接続用の細いケーブル(右図)」が売られていたのです。これを使えば、カートリッジからプリの入力端子まで一直線で、接点はまったく介在しない状況が簡単に作れます。すなわち、この製品の一方の端(図左の4つのチップ)をカートリッジの出力端子にはめ込み、ケーブルはアームを這わせて回転中心軸付近でボード位置にまで落とし、装置の外に引き出して他端(図右のRCAプラグ)をプリにつなぐわけです。その間は、一切の接点が無いので、音の劣化は最小限に抑えられるではないですか。精神衛生上、この上ない工夫です。
    アームの動作との干渉
  • しかし、世の中はそうすべてが巧くは行きません。この極細ケーブルにも難点があり、如何に細いとはいえトーン・アームの精妙な動きに悪影響を与えます。アームの中では単線が使われていますが、中空を這わせるこのケーブルはシールド付きです。やわらかく作ってあり、20年近く使った今でもフニャフニャですが、それでもうまくやらないとアームの左右・上下の動作に、僅かとはいえ制約を与えます。Nelsonの場合は、アームの回転中心軸上空で、このケーブルをうまくループさせて、これを回避した積もりです。しかし、アームの動作は精妙なものであり、アームのオフセットにより発生するかもしれない微小な横向きの力を嫌って、インサイド・フォース・キャンセラーなんてものまで備えるほどのものです。アームの技術仕様に「初動感度」という項目があったのを思い出します。そのような精妙な世界にとって、ケーブル這わせという方式はナントも大雑把ではあります。
    きれいサッパリと、、、
  • 今度の改装で、この辺の有象無象(うぞうむぞう)をスッパリと撤去して、通常のセッティングにしてしまいました。「凝る」という観点からは後退ですが、「気楽に、肩に力を入れ過ぎないで」という観点では、正常化されたことになります。

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