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接続ケーブル類の引き回し

  • オーディオの装置を揃えていくと、そこら中がケーブルだらけになるので工夫を要する、というお話です。
    電源ケーブルと接続ケーブル
  • 機器間の接続ケーブルには小信号による電流しか流れませんが、電源ケーブルにはかなりの大きさの電流が流れます。電流レベルでいうと、パワーアンプやインテグレイトアンプ以前のケーブルが一番小さく、その次がスピーカーに行くケーブルで、一番大きいのが電源ケーブルと考えて良いでしょう。信号レベルが大きく、電力が大きなケーブルは、その周辺に無視できない磁界を発生し、その磁界が他のケーブルの動作に影響を与えます。ラックの後ろを良く点検して、電源ケーブル等が接続ケーブルにあまり接近しないように、ましてや接触しないようにしなければなりません。試しに、スピーカーに行くケーブルに電源ケーブルを近づけてみると「ブーン」という雑音が入りますから、コリャまずいと判るでしょう。スピーカーケーブルは通常は2線の非シールドケーブルですから、周囲の交流信号の影響を受け易いのです。小信号のケーブルは、通常はシールド線です。シールドというのは、テレヴィのフィーダー線を剥くと現れる網線で、これが外部の磁界の影響を抑えてくれます。従って、傍に電源ケーブルがあっても大丈夫に見えますが、実は万全ではないようです。結論としては、電源ケーブルは他のケーブルから20センチくらいは離し、念を入れるなら直交させるのが良いようです。このためには、中に金属の線が入っていない、手ごろな紐で巧く配置する工夫が必要です。
    ケーブルは短く
  • 信号を伝える大事な役目を持つケーブルは、外界の影響で信号が損なわれたりしないように、短いほうが良いようです。アンプなどをひっきりなしに配置がえする人は少ないでしょうが、配置が決まったら、接続部のクリーンアップのための端子の抜き差しに不自由でない程度に、ケーブルは短くするのが良いでしょう。過度に緊張させない程度に短くするのが、どのような種類のケーブルでも良い結果が出るようです。ケーブルがたるむので、そのあまった長さを輪にするというのは論外です。これをやると他からの影響だけではなく、自分自身の輪により音を悪くしてしまいます。
    ケーブルは適切な長さのものか、自作を
  • 機器の配置が決まれば、個別のケーブル毎に必要な長さは決まります。メーカーは、0.5, 0.75, 1.0, 1.5, 2.0メートルと色んな長さのものを販売していますから、適宜選ぶのが良いでしょう。好きな長さにしたり、長いものを短くしたりすることを考えると、ケーブルくらいは自作してもいいかもしれません。上質な半田さえ使えば、自作でも見劣り(聞き劣り)しません。メーカー間でも、半田つけ方式と、圧着カシメ方式とバラバラですから、どちらが良いとも言えないのでしょう。カシメの場合は、しっかりしたJIS規格の治具を使わないと接触が悪くなります。
    線材
  • 実はこれは恐ろしい話題なのです。ケーブルは一本数百円のものから、数十万円のものまであるのも、この辺が異なるようです。単線、撚り線、金銀銅の純度、違う材質・口径のものの組み合わせ、中間に何か瘤の付いたもの等々色々です。大雑把に言って、日本は素材の金属の純度に、欧米は素線の撚り方・組み合わせ方に重点があるようです。銀線が絶対に良いという人もいます。これについては、百家争鳴ですから、詳しくは触れません。
    バランス・非バランス伝送
  • 信号は信号自体とその基準である接地線とを組にして流します。その信号自体を、一本で流す方法(非バランス伝送)と、正負逆の信号を組にして流す方法(バランス伝送)があります。バランス伝送の場合、必要な線が信号二本と接地の合計3本となりますが、それほどまで凝るのは、外部の影響を受け難いからです。しかし、バランス伝送を生かすためにはアンプも2倍要る上に、説明は省きますが精巧なヴォリュームが必要であり、プロなら兎も角、家庭用では不要、とされていました。今は、家庭でも結構使われています。バランス伝送には、RCAと呼ばれる普通のプラグではなく、キャノン端子が必要です。プロ用だけあって、不用意に抜けたりしないしくみになっていますし、誤って信号伝送中にはずれても、アースが後から切れるので事故は起きにくいようです。RCAの場合変に抜けると、スピーカーを壊すほどのノイズが出るのが普通です。これも、この頃はそうならないように接地側が後から抜けるように作ったものも出始めています。接続部の定期的な清浄化は、忘れてはなりません。
    諸問題の複雑な連関
  • このようにケーブルには、信号レベル、相互配置、長さ、シールド、線材、バランス・非バランス伝送、接続端子等々の問題点があり、それらが複雑に絡み合っています。とても一筋縄では行きません。それを商売にしている人でなければ、突き詰める気にならない代物と感じます。
    「それぞれの秋」
  • Nelsonは、いろいろの手探りの結果、機器間のケーブルには、安いケーブル素線を大量に買って、RCA,キャノン端子を調達して、自作しています。スピーカーケーブルは純銀の単線をテフロンチューブに突っ込んだものを自作しています。聞いてみて満足できるので、泥沼には足を踏み込まないで済んでいます。ただし、数十万円のケーブルを使った経験がありませんので、そちらのほうがもっと良い音なのかも知れません。それには、それを買って、繋いで、一か月は経ってから判断する必要があります。
    アースループ
  • 自作するので採用している方法があります。それは、左右の線を信号とアースの一組づつにすることを避けていることです。左右のアースが一本の線で済むように作っています。また、信号とアースに同じ材質の線を使っており、シールドも入れると導体断面積はアース側のほうが大きくなったものを自作しています。機器の中ではアースは左右共通ですから、市販のケーブルのように機器間接続のときに2本使うのはおかしいことです。接続先の機器ではまた一緒になるのですから、一定の面積を有するアースループができてしまい、雑音が混入する余地があります。これはオーディオ・クラフトも製品で採用している手法です。またあれほど素線の優秀さを唱えながらも、信号とアースの材質が違うのは、御都合主義と感じるからです。自作ならこんな事も簡単です。見かけは、三つ編みされて一本となったケーブルの両端に、左右二つの接続端子が付いているように見えますが、結構聞けます。精神衛生上も良いです。
    本当は、、、
  • ケーブルに関する話は玄妙です。もっと率直に言えば、嘘っぱちが結構混じっています。これは売る側と評論メディアに大きな責任があります。百倍も値段が違うケーブルの効果について、否定・肯定が平気でまかり通っています。本来は、2重ブラインド試験を公開ででもやってみて、その結果を公開するということをメディアがやるべきなのでしょう。それ程に眉唾の話が多い分野です。そういうブラインド試験をやらないのは、手間が大変ということもありますが、客観的な結果が出ると困る人たちが居るからです。何しろ一万円から百万円を超えるほど広く単価が分布した製品が、ただの信号伝達という同じ機能を持っているんですから、、、

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