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JBL L200 Studio Master (4)
  • JBLの「L200 Studio Master」を構成する具体的な機器について、関連することを含めて整理しておきます
    先ずは、「LE15B」から
  • LE15B「L200 Studio Master」のウーファーに、JBLが採用したのは「LE15B」であり、原型の「4325}ではプロ用として「2216」という型番を与えられていました。これは比較的珍しい機種なんで、詳しく記します。先ず「LE15B」という名前からは、「LE15A」の変種で、恐らくはインピーダンス違いのものだろう、と推測するのが普通です。これは、見当違いだったようです。手元に実物をおいてから調べてみると、たしかに変種ではあるんですが、これは「L200 Studio Master」のというか、原型の「4325」の企画意図と関係があると判りました。
    「LE15A」との違い
  • LE15Bかの井上先生の書かれたものによれば、当時のJBLは「4320」の成功をダメ押しするために、中音の厚みを増して、より明快な音出しを可能にすることを目指していたようなのです。海外のネット情報によれば、ロック系の音楽の台頭に対処することを重視していたから、という理由も示されています。そのために、「4320」ではウーファーは800ヘルツまでを受け持っていた所を、さらに上の帯域まで大入力をこなしうるウーファーに任せるという手を取りました。こうして、1キロヘルツ前後をホーンではなく、ウーファーに受け持たせるという方針の下に、「LE15A」の変種として「LE15B」(「2216」相当)が開発された、ということのようです。この変種では、「LE15A」で採用したリブ付きのエッジをもう少し柔らかくすると共に、コーン紙の根元のダンパーも柔らかめにセットしたといいます。これによって、コーン紙はさらに動きやすくなり、本来なら38センチ・ウーファーから出すのは無理もはなはだしい1200ヘルツまでの帯域を、苦しげながらも受け持たせ得るようになったらしいのです。ただし、これには痛しかゆしの面もあったようで、まぁ、量はともかくも、質の良い中音は望みがたいわけで、その意味で「4325」が発売されても、「4320」はディスコンとならず、併売されていたようです
    「LE15A」との共通点
  • 原型が「LE15A」ですから、仔細に見ない限り、ほとんど区別は付きません。磁石は、まだフェライトになる前のアルニコですし、幸運なことに入手直前に再着磁されていました。フレームも鋳物の堅牢なもので、「LE15A」以前の「130A」時代からの工夫として、8本あるフレーム・サポートの背面にリブを立てて、強度を補強することも踏襲されています。
    リブ・エッジの効用
  • choiceNelsonのように大昔のスピーカーの良さを大事にする者にとっては、このリブ・エッジは大きな魅力です。今様の、10年も経たずにボロボロになるウレタン・エッジは論外で、あんな欠陥品を売るのは許せません。それはそうなんですが、そうは言っても昔懐かしいゴム・エッジにも経年劣化があります。ゴム・エッジ付きのユニットならば、製造後30年以上は経っていることもあって、結構堅くなっているものがあります。この堅さは、音の立ち上がり・立下りを良くしますので利点ではあるんですが、堅過ぎてコーン紙が動き難くなる所まで行っている場合は、マズイことになります。そういう点では、ビスコロイド塗りのリブ・エッジは経年劣化がほとんど無く、数十年前のエッジでもそのまま使える場合が多いようです。入手した「L200」の場合も、発売から20年は経過していましたが、コーン紙、エッジ、フレーム共に何の不具合も無く、少し鳴らし込みをしただけで、歯切れの良い低音を聞かせてくれました。リブ・エッジでの音の出方が最善とは言いませんが、少なくともコーン紙の動きを抑え過ぎることがありません。というようなことで、このエッジは結構使える代物なのです。
    エッジの張替えーー余談
  • 上記のウレタン・エッジの張り替えキットが、数年前から一杯出ています。ボロボロのエッジに落胆した人にとって、なかなか便利なようでいて、これはこれで、実はなかなか難しいもののようです。エッジの堅さは音に結構効くので、製品として出す時には狙った範囲に収まるように作られています。張り替えるエッジの選択に際しては、最低限の機能として、コーン紙のフラ付きを押さえ、音の立ち上がり・立下りを制御することは、当然ながら大事です。そしてさらに、それをどの程度のレベルで行うかも、結構重要なことのようで、メーカーは結構気を使っています。したがって、何か適当な張替えエッジを買って、貼り付けておけば良いというほど、簡単なものではありません。ですから、元の材質に似たウレタンにするか、セーム皮に変えるか、接着剤に何を使うか、、等々、大いに悩むべきことです。「面倒くさいなぁ、、、」と思っても、じゃぁ、劣化が遅い布または紙ベースのリブ・エッジなどが無条件で良いかとなると、コレもそう簡単なことではありません。エッジはそもそも、動く部分であるコーン紙と、動かない部分であるフレームとの接続部分ですから、使うにつれて、いずれは疲労します。オリジナルと性能が変わるから、「ボロボロになっても、エッジの張替えはしない」と突っ張るのも変ですし、「張替えを要しないエッジのものしか買わない」と言っても、どのエッジでも使用につれて性能が変化というか、劣化するするという点も忘れるわけには行きません。どうにも、なかなか選択に迷う点なのです。
  • 次に、その他の機器について述べます

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